【議案質疑 2019年9月】議案第45号「会計年度任用職員の報酬等に関する条例」

登壇 1回目

◆1番(武下涼議員) おはようございます。議案第45号「会計年度任用職員の報酬等に関する条例」に対し、日本共産党蕨市議団を代表して質疑いたします。
 今回の条例提案は、地方公務員法・地方自治法の一部改正に伴い、法律改正に対応するために、本市において条例を定めるものでありますが、重要なのは、なぜ今回、法改正に至ったのか、その法改正の趣旨が大変重要な意味を持っています。
 総務省の実態調査を引用しますが、全国で64万人を超える地方公務員の臨時・非常勤職員の実態、代表的な職種として、事務補助員が約10万人、次いで、教員・講師が9万人、保育所保育士が約6万人、給食調理員が約4万人、図書館職員が約1万6,000人、看護師も約1万6,000人など、さまざまな公務の分野での担い手として臨時・非常勤職員の方が、いわば恒常的業務に従事している状況があります。
 そもそも地方公務員法は、常勤職員で公務を担うこと、公務を行うことを前提としているものの、国の公務員の定員適正化に名をかりた自治体正規職員の削減が続けられ、1994年の328万人をピークとして減少傾向にあります。
 2006年から2016年までに自治体正規職員は26万人減少し、274万人となり、一方で、臨時・非常勤職員は19万人ふえ、64万人となりました。
 住民サービスの多様化に伴い、自治体業務の増加、そして、近年では災害発生の状況や、求められている防災・減災強化など、自治体の役割はますます増してきている中で、地方交付税の削減などにより、自治体財政が苦しくなっています。
 こうした状況を反映し、実態調査からも読み取れるように、正規職員の増員ができない状況を臨時・非常勤職員をいわゆる補助として任用し、対応してきたことが全国的な自治体の非正規職員の拡大につながり、そして、本来の地方公務員法が定める任用根拠の説明がつかなくなったこと、また、恒常的業務に従事する臨時・非常勤職員の手当等をめぐる最高裁判所の判決での指摘、この間の民間有期、非正規雇用をめぐる法改正や処遇の改善動向、同一労働・同一賃金という社会的な要請が強まるもとで、今回の法改正に至ったものだと考えます。
 職員の賃金労働条件は、住民の命や財産を守り、住民の幸せに貢献する重要な仕事を担っている職員の皆さんが働く上で大切な条件です。当市のすべての職員の皆さんが全体の奉仕者として意欲を持って、心おきなく働き続けられる制度が求められており、それが業務の効率を上げ、住民サービスの向上につながると私は考えます。
 以上の観点から、本条例案について通告書に基づき質疑いたします。
 第1に、改めて一部改正に至る背景はどのような理由からか。
 第2に、本条例の制定に伴う本市への効果はどのようか。そして、会計年度任用職員に移行する職員の数及びその職務の内容について、また、第1号会計年度任用職員、第2号会計年度任用職員の内訳はどのようか。次に、会計年度任用職員への移行後、移行前と比べて年収ベースの増額率の違いはどのようか。
 第3に、本条例の制定に伴い、市の財政への影響について、会計年度任用職員の移行に伴い、市の財政の影響額はどのようか。そして、今回の法改正に伴う条例の制定・改正は地方自治体の財政に影響を与えることから、国は財政措置を検討する旨の国会答弁をしているが、どのようか。また、市として財政措置を求める要請を行っているかどうか。
 第4に、当事者及び関係部署へのヒアリング、職員団体とどのように調整を行ったのか。
 以上、答弁を求めます。
 以上で、登壇しての第1回目の質疑を終わります。
    〔総務部長 登壇〕

答弁

◎総務部長  おはようございます。私からは、議案第45号「会計年度任用職員の報酬等に関する条例」についてのご質疑にご答弁申し上げます。
 1番目、地方公務員法・地方自治法の一部改正に至る経緯につきましては、地方公務員の臨時・非常勤職員は、多様化する行政需要に対応する等の理由により増加してきたところであり、現状において地方行政の重要な担い手となっております。このような中において臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するため、今回の法改正に至ったところであります。
 次に、2番目、本条例制定の効果の1点目及び2点目、会計年度任用職員に移行する職員の数につきましては、登録制などのスポット任用を除き、現行の一般職の非常勤職員すべてについて会計年度任用職員への移行を見込み、令和元年9月1日現在で433名、また、その職務内容は、現行の非常勤職員の担当業務を引き継ぐことを想定しております。
 また、内訳につきましては、パートタイム勤務の第1号の職員は427名、フルタイム勤務の第2号の職員は6名となっております。
 次に、3点目、一般事務の移行前と移行後の年収ベースの増減率につきましては、一般事務のうち、事務補助員の年収は、移行前234万円、移行後235万7,900円で0.8%の増を見込んでおります。
 次に、3番目、市財政への影響の1点目、影響額につきましては、新制度の初年度である令和2年度では、市全体で約3,500万円の負担増を見込んでおります。
 次に、2点目、法改正に伴う国の財政措置につきましては、総務省のマニュアルにおいて「地方財政措置についても適切に検討を進めていく予定」と記載されているものの、現在、具体的な内容について示されていないことから、現段階では市としての要請は行っておりません。
 次に、4番目、ヒアリングについては、非常勤職員本人に対しては行っておりませんが、関係部署に対しては、主に現行任用している非常勤職員の職種や、人数が多い部署を中心に行ってきたところであります。
 また、職員団体との調整については、事務折衝4回、団体交渉を2回開催し、協議を重ねてきたところであり、本条例案の議会上程については、合意を得ているところであります。
 以上でございます。

再質疑 2回目

◆1番(武下涼議員) それでは、再質疑を行わせていただきたいと思います。
 ちょっと端的に聞きますが、本来フルタイムであるはずなのに、パートタイムに振り分けるといったこと、また、会計年度任用職員への移行に伴い、年収が減額になるといった不利益が生じていないか、つまり、待遇が悪くなっている者がいないかどうか、お尋ねいたします。

◎総務部長  減額になっているかどうかということでございますが、現行の年収を下回る職員については、初任給より上位の号給に格づけするということで、現行の年収を下回らないような調整を行っているということで、それぞれ不利益をこうむらないように措置をしているということでございます。
 それから、フルタイムの関係でございますが、現在、定型的、あるいは補助的な業務を臨時職員でお願いしているということでございますので、蕨市の場合には1週間に35時間勤務ということが基本となっているところでございます。
 ただ、今後につきましては、この制度は新しい制度でございますから、その制度の運用をしていく中でいろいろなことが出てきて、必要に応じて適宜検討をしていく必要性はあるのかなというふうに現時点では思っているところでございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。質疑についてはこれでとどめて、一般質問のほうでまた詳しくさせていただきたいと思います。
 以上です。