【一般質問 2019年12月】国民健康保険税の税率、市職員の環境整備、飼い主のいない猫

発言通告

1 国民健康保険税の税率の見直しについて
(1)「税率の見直し」の検討状況について
①試案はいくつ作り、それぞれどのような特徴があるのか。また、税率変更に伴う試案ごとの税額はどのようか
②所得に対する負担割合はどのようか
(2)所得に占める国民健康保険税額の割合は、他の医療保険に比べてどのようか。また、税額はモデル世帯において、この30年ほどでどう推移しているのか
(3)蕨市国民健康保険運営協議会の答申について、現時点の見解はどうのようか
2 市職員の働く環境整備に関する現在の施策及び考えについて
(1)メンタルヘルス対策について
(2)ハラスメントをなくす取り組みについて
(3)職場復帰支援プログラムについて
3 飼い主のいない猫への取り組みについて
(1)蕨市飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費補助金の利用状況について
(2)市として飼い主のいない猫への取り組みをどのように考えているか

登壇して一般質問

◆1番(武下涼議員) 皆さん、こんにちは。日本共産党、武下涼です。
 通告に従いまして、今回の一般質問では大きく3点について。
 1点目は、国民健康保険について。
 市民の命と健康に直結する国民健康保険の制度の動向を注視しておりまして、別の角度から一般質問を行わせていただきます。
 2点目は、市民サービス、行政の担い手であります市職員の働く環境整備について。これも先行して、北町在住の先輩議員の榎本議員が触れられておりました。私は少し割愛しようかなと思っていたんですけれども、今議会において、改めてやはり自分の言葉でハラスメントのことについて触れたいなと思いました。
 3点目は、県の事業として始まり、蕨市でも創設されました飼い主のいない猫に不妊・去勢の手術を受けさせた方に5,000円補助をする制度が新設されました。これについて、制度の利用も大変ふえてきているというふうなお話も聞きまして、この取り組み状況について、または課題についてお聞きしたいと思っております。
 まず、大きな1点目。私は9月議会においても、国民健康保険をテーマに一般質問を行ってまいりました。国民健康保険法の大きな改正により、国保制度の仕組みが大きく変わる。その中で都道府県と市町村の役割、特に財政運営について、これまで市町村が国保にかかわる算定を行ってきたものをそのほとんどを都道府県が財政の入りと出を管理する。つまり財政運営の責任者が市町村から都道府県に移される、新たな仕組みが加わるなど、大変大きな制度変更が行われる流れの中で、改めて9月議会で本市の見解を問いました。
 これからの市町村の国保の運営に当たっては、とりわけ埼玉県国民健康保険運営方針が市町村国保の運営に大きな影響を与えてまいります。
 伊藤市民生活部長の答弁では、県の運営方針の策定に至るまで、当初、県から示されていた運営方針案では、令和5年度までに赤字を解消する目標設定となっていたものが蕨市として政策的に投入している法定外繰り入れは各市町村の裁量であって、解消する赤字としないこと及び国民健康保険は低所得者が多く、その負担を考慮すると令和5年度までに赤字額を全額解消するのは困難である。そういう意見を述べてきたという答弁がございました。
 そして、その意見によって、赤字解消の目標年度については「6年間で解消することが困難と認められる場合には、市町村の実態を踏まえた設定とします」と、当初の案から変わりまして、その一文が加えられたと。そのような答弁がございました。
 市民生活の状況をリアルに把握し、または把握できる、住民に身近な基礎的自治体だからこその視点に立った大変重要な意見表明であったと思います。
 日本共産党蕨市議団としましても、蕨市が国民健康保険の運営に際して行ってきた政策的努力の結果として、県内で最も低い保険税の水準を維持していくことを高く評価しているとともに、引き続き、市民の命や健康に直結する国保について、市民の実態に配慮した保険税の水準を維持していくことを求める立場であります。
 また、頼高市長の答弁でも、国保の意義について、国民健康保険制度は社会保障であり、市民の皆さんの健康を守る大事な制度であると改めて答弁をいただきました。
 ところが、こうした国保への政策的努力について、結論としまして、政策的に投入している法定外繰入金は解消すべき赤字であると。国、県の方針は、あくまでも市町村がこれまで政策的に行ってきた自治体の一般会計から行う繰り入れ、つまり財政支援が国民健康保険の特別会計の赤字に対する補てんであると指摘をし、その赤字解消を強く要請する姿勢であり、各市町村国保のあり方に動揺を与えております。
 何も蕨市だけが国保税率を引き上げず、また、据え置くような努力を進めているわけではありません。都道府県の国保運営方針の策定に当たり、基礎的自治体の市町村は都道府県に対し、しっかり意見を述べ、法定外繰り入れの正当性、必要性を訴えています。
 少しご紹介します。例えば、円滑な制度移行を図るには、統一保険料のより一層の低減が必要であるため、国に対してさらなる公費投入の拡大を求めるとともに、被保険者の急激な負担増加を抑制するための方策や特別の財政支援措置等を講じることで、国保財政運営の責任主体としての責務を果たすことを都道府県に強く求める。このように述べています。
 また、低所得者向けの減免、障害者や多子家庭、お子さんの多い家庭に向けての減免、生活困窮の方の減免に力を入れてきた自治体は、これらの減免の財源である、つまり法定外繰り入れを認められなければ、生活困窮を進めかねないと危惧する。これまで市町村が被保険者、加入している方の立場に立って、減免制度を維持してきた実情を考慮していただき、減免制度の継続的な拡充を求める。あわせて、低所得者対策の減免分をすべて国保加入者の保険料で賄うのは限界があり、一般会計からの繰り入れを継続して行うべきと考えるというような意見が出されています。
 既に蓮田市でも国保の議論が進んでいまして、蓮田市では国保の引き上げを行わないというような報道を聞きました。
 まさに、こうした国保の構造的問題による厳しい状況を自治体は政策的に一般会計からの繰り入れで市民の命と健康を守ろうとしてきたわけです。
 国民健康保険税、自治体によっては保険税のことを保険料と呼んでおります。税制度の原則であります憲法第84条の租税法律主義が適用されるかが争われた裁判がありました。最高裁判所の平成18年の判決において、保険料は趣旨適用となるとしつつも、傍論的ではありますが、保険税は直接適用されるとしました。規制の度合いについて、相違を許容することは疑問が残るところですが、これ自体は意義のある判決であります。
 この租税法律主義について、国税庁がホームページに税務大学の論文などを掲載しておりますが、租税、つまり税金は応能負担の原則、最低生活非課税の原則、公平の原則等がありまして、また担税力、つまり憲法第25条の生存権、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する水準が租税を負担する能力の有無を判断する基準として、こうしたことは所得税法など、そうした原則を踏まえられたものになっています。
 やはり国民健康保険、この国保税をめぐる議論においては、こうした生存権を保障する観点に立った議論が必要だと考えますが、それを実践してきたのが市町村自治体であり、国保制度が抱えている構造的問題に対し、一般会計から繰り入れを行ってきたことになるんだろうと思います。
 9月議会において、私は国保制度には社会の変化が反映すると言われていることを紹介いたしました。昔の国保加入者の職業構成は、農林水産業と自営業者を合わせて7割でございました。現在では、無職の方が約44%、被用者が約34%です。被用者の内訳については、協会けんぽなどの被用者保険の対象にならない方々、派遣やパートなど非正規雇用の人々が多くを占めている点が特徴です。今、自営業者の方は約14%ぐらいの推移だと言われています。非正規雇用の方は今、実にして2,100万人非正規雇用で働いているという、これも深刻な状況です。
 医療保険制度の加入者の全体の内訳の中で国保に加入している方は、厚生労働省の資料ですけれども、約3,300万人が国保に加入している状況です。協会けんぽに次ぐ大きな規模となっています。
 ですから、まさに国保は国民皆保険制度を支えている重要な公的医療保険であり、しかし一方で、加入者の置かれている状況は、ほかの公的医療保険に比べ、大変厳しいという実態です。
 以上、述べた状況がある中で、蕨市においても、国保税率の見直しの検討が出てまいりました。蕨市国民健康保険協議会での審議が始まり、答申が出される状況であります。
 したがいまして、現在、国保税の見直し検討がどのように進んでいるのか。また、今後の市としての国保の運営のあり方にどのような見解を持っているのか、お尋ねいたします。
 次に、大きな2点目であります。市の職員の働く環境整備に関する市の現在の施策及び考えについてであります。
 私自身も議員に当選する前は組織で働いてまいりました。その中で、労働安全衛生委員会という法律に定められた委員会があるんですけれども、その事務局として仕事をした経験がございました。そこでやはり大事にしていたのはコミュニケーション、そして言葉をとても大事にするということでございました。
 その言葉がとても大きな力がありまして、人格を傷つけたり、尊厳を傷つけたり。でも、場合によっては励ましたり、元気になったり、そういう言葉の力があります。そういうことをやはり職場の中で、またはいろいろな場面で私自身もしっかり自覚しながらやっていきたいなと思っている中で、今回こういう質問を取り上げさせていただきました。
 さて、日本では近年メンタルヘルス、心の健康と関連した労働災害が急増しています。2000年と2015年を比較すると、精神障害の労災申請件数で212件だったのが、2015年ですが、1,515件と約7倍。認定件数で言えば、36件から472件と約13倍になっています。
 蕨市において、蕨市自殺対策計画を策定しているところでありますが、全国的に自殺の労災申請件数が199件と、過去にして2倍にふえている。認定件数で言えば93件と5倍増加しているという状況です。
 この数字は、厚生労働省精神障害等の労災申請認定件数の推移、労働災害統計によるものですが、警察庁の自殺統計に基づけば、勤務問題を原因とした自殺者数は2,000人を超える状況がいまだ続いているということです。
 労災統計と実態との隔たりが大きいことも問題にありますし、これが今の日本の状況なのかなとも実感いたします。
 次に、いじめ、嫌がらせに関する民事上の個別労働紛争の相談件数が過去最高を記録しています。蕨市でも労働相談を受け付けているということですが、全国規模で見ると大変大きな数字になっています。
 個別労働紛争の相談件数なんですけれども、総合労働相談件数で言えば、111万7,000件を超える相談が寄せられています。そのうち、嫌がらせ、いじめに関する、いわゆるハラスメントについては8万2,797件相談があるという状況です。
 また、日本で調査された、こころの健康についての疫学調査に関する研究、世界精神保健調査によると、一生の間に何らかの精神障害にかかる危険は24%余りと推計されておりまして、4人に1人が何らかの精神障害にかかる可能性があるようです。男性ががんで亡くなる確率が25%から26%なので、それと同じような状況になっています。心の病気はだれでも発症する可能性のある病気だと言えるのではないでしょうか。
 さて、地方公務員健康状況等の現況の概要などを見ますと、長期病休者が増加傾向であること、精神及び行動の障害による長期病休者も増加傾向で、15年前の約2.8倍増加しているようです。そして、この精神及び行動の障害の長期病気休職者は、全体の割合として55%を超えているという状況でした。
 今回の一般質問では市職員の働く環境整備に関する市の現在の政策及び考えについて、市の対策、取り組みなどをお尋ねいたします。
 次に、3点目、飼い主のいない猫の取り組みについてであります。
 先ほども申し上げましたが、新しく新制度として始まっておりまして、申請件数もふえているということでございました。これについて、山脇紀子議員が過去に、TNR活動の周知をお願いしたいということで取り上げておりました。
 これについては、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費助成金の取り組みはどういうものなのかということで、ホームページにわかりやすい資料が添付されておりました。このことについては大変わかりやすく、なじみやすいのではないかと思う一方で、やはり申請の手順、申請の仕組みについて利用のしづらさということをお聞きいたしました。
 その点について、市の今後の地域猫の取り組みについて、見解を伺いたいと思っております。
 以上で、登壇での一般質問とさせていただきます。
  〔市民生活部長 登壇〕

答弁 市民生活部所管

◎市民生活部長  それでは、今、ご質問がございまして、通告書の内容に沿って、答弁をさせていただきたいと存じます。
 私からは、市民生活部所管のご質問にご答弁申し上げます。
 初めに、1番目の国民健康保険税の税率の見直しについての1点目、税率の見直しの検討状況についての①試案につきましては、蕨市国民健康保険運営協議会へ保険税率の見直しについて6つの試案を提示し、現在、ご審議いただいているところであります。
 試案の内容といたしましては、埼玉県国民健康保険運営方針に基づき、今後、統一される予定であります賦課方式及び賦課割合のとおり、現状の4方式による賦課から2方式化を目指し、資産割と平等割を引き下げることや応能応益割合を変えているほか、昨年度、県に提出しました赤字解消・削減計画の中で、令和5年度までに約2億6,000万円の法定外繰入金の削減目標を達成することとしているため、必要な引き上げ率を設定しております。
 また、税率改正に伴う試案ごとの税額につきましては、70歳単身世帯、所得100万円、固定資産税なしの世帯では、現状7万2,500円。試案1が7万9,800円、試案2が8万1,500円、試案3が8万1,500円、試案4が8万3,100円、試案5が8万4,100円、試案6が8万4,800円となっております。
 また、45歳夫婦子2人の4人世帯、所得600万円、固定資産税6万円の世帯では、現状56万5,500円。試案1が65万8,800円、試案2が63万5,200円、試案3が62万2,500円、試案4が68万3,800円、試案5が66万3,800円、試案6が65万6,800円となっております。
 次に、②所得に対する負担割合につきましては、加入者1人当たりの平均所得に対する加入者1人当たりの平均保険料割合として、現状の保険税率では約7.8%、試案1から3では約8.6%、試案4から6では約8.9%となっております。
 次に、2点目の所得に占める国民健康保険税の割合が他の医療保険と比較してどうかにつきましては、平成29年度時点での各保険の加入者1人当たりの平均所得に対する加入者1人当たりの平均保険料の割合では、市町村国保が10.2%、協会けんぽが7.5%、組合健保が5.8%、共済組合が5.9%となっており、市町村国保が他の医療保険より高くなっております。
 次に、モデル世帯における30年間での保険税額の推移についてでありますが、当市の保険税率の改正はこの30年の間で、平成10年度と平成12年度の2回、それぞれ約8%の引き上げを行っており、平成元年度と税率の引き上げ時点での税額の推移で見ますと、70歳単身世帯、所得100万円、固定資産税なしの世帯では、平成元年度では6万1,000円、平成10年度では6万5,200円、平成12年度以降では7万2,500円となっております。
 また、45歳夫婦子2人の4人世帯、所得600万円、固定資産税6万円の世帯では、平成元年度では40万円、平成10年度では46万1,700円、平成12年度以降では56万5,500円となっております。
 次に、3点目の蕨市国民健康保険運営協議会の答申についての現時点での見解につきましては、現在、協議会において審議中でありますことから、見解を述べる立場にございませんのでご理解を賜りたいと存じます。
 次に、3番目の飼い主のいない猫への取り組みについての1点目、蕨市飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費補助金の利用状況についてでありますが、当該補助金制度を導入した昨年度は80頭分40万円の予算に対し、42頭21万円の交付でありましたが、2年目となった今年度は11月末現在で、81頭分33万7,280円の申請があり、今後、予算額である40万円に到達する可能性もあり、当該補助金制度の周知が進んだものと認識しております。
 次に、2点目の市としての飼い主のいない猫への取り組みをどのように考えているかについてでありますが、飼い主のいない猫に不妊・去勢手術を施した上で、再び生息場所に戻す、いわゆるTNR活動は人間と飼い主のいない猫とが共生できる有効な方策と考えており、不妊・去勢手術を行うことにより、猫の繁殖が抑制され、不幸な猫を生み出すことがなくなるだけでなく、発情行動による尿のマーキング行動も迎えられることで、ふん尿被害が軽減されるといった効果も期待されております。
 当該補助金を申請される方は、日ごろから飼い主のいない猫の保護活動に熱心に取り組まれており、市といたしましても、こうした保護活動に取り組まれている方からの相談や連絡に関しても真摯に対応するとともに、埼玉県動物指導センターと連携しながら、飼い主のいない猫への取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
  〔総務部長 登壇〕

答弁 総務部所管

◎総務部長  私からは、総務部所管のご質問にご答弁申し上げます。
 2番目の市職員の働く環境整備についての1点目、メンタルヘルス対策につきましては、職員一人一人が心の健康問題について理解し、主体的に心の健康を保持・増進できるよう、正しい知識を習得することを目的として、毎年メンタルヘルス研修を実施しております。
 また、職員自身のストレスへの気づきを促し、職場におけるストレス要因の評価及び職場環境の改善を図るとともに、職員がメンタルヘルス不調となることを未然に防止することを目的として、ストレスチェックを実施しております。
 次に2点目、ハラスメントをなくす取り組みにつきましては、パワー・ハラスメント及びセクシャル・ハラスメントについては、蕨市パワー・ハラスメント防止要綱及び蕨市セクシャル・ハラスメント防止要綱に基づき、所属長と職員の責務を定めるとともに、苦情の申し出や相談を受ける相談窓口や相談員を設置するなど、ハラスメントに起因する問題に適切に対応できるよう、体制の整備を図っております。
 次に3点目、職場復帰支援プログラムについてでありますが、本市においては、精神疾患等により、療養のため、長期間職場を離れている職員が職場復帰できると考えられる程度に回復した場合に、職場復帰前に元の職場などに一定期間継続して試験的に出勤する、いわゆる「試し出勤」を実施しております。
 この「試し出勤」は職員の職場復帰に関する不安を緩和するなど、職場復帰を円滑に行うことを目的として実施しており、一定の成果があるものと認識しております。

再質問

国民健康保険税の税率の見直しについて

◆1番(武下涼議員) それでは、質問席から再質問をさせていただきます。
 まず、先ほど国保の協議会のことで答弁いただきました。そのとおりだと思います。その上で、では国保の運営協議会に対して、事務局としてどのような報告、どのような資料を使って答申に当たっての議論、その使っていた資料を教えていただけないでしょうか。

◎市民生活部長  運営協議会のほうに説明申し上げていますのは、資料といたしまして、1人当たりの医療費や1人当たりの法定外繰入金が増加傾向であるといった資料、それから、登壇で申し上げた6つの税率改正案とモデルケースごとの税額、それから県内市町村の税率と法定外繰入金の状況、こういった資料を提供してご審議していただいているところでございます。

◆1番(武下涼議員) もし差し支えなければ、議論で出された意見などを教えていただくことは可能でしょうか。

◎市民生活部長  今、私がここの場でご答弁申し上げるといいますか、これについては差し控えさせていただきたいと思います。
 これにつきましては、当然オープンな形で会議を開催しておりますので、傍聴を含めて会議録の公開もしているということでご理解いただきたいと思います。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。
 それでは、ちょっと前後してしまいますが、繰り返しになるんですけれども、そもそもなぜこの税率の見直しという状況になったのか。これは国と県との関係、そういった背景がありますけれども、改めて教えていただけないでしょうか。

◎市民生活部長  税率の見直しということでありますけれども、大きなところで言いますと、やはり医療の高度化等によりまして医療費が増加をしているというところ、そして、蕨市といたしましては、その間において、国保税については20年間据え置いてきたということがまずございます。
 それと加えまして、やはり国保の制度改革の中で、法定外繰入金を解消するように強く求められてきているということがございます。
 あわせて、制度改革の中で、埼玉県の国民健康保険運営方針の中においても、今度保険税率の水準の統一が将来的に目指すべき課題として位置づけられているといったこともございまして、議論が進んでいるということです。
 そして、赤字削減・解消計画の目標を達成できない場合につきましては、いわゆる県繰入金の保険者努力支援制度で減額をされると。こういったような状況から見直しに至っているということでございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。やはり県、国、そういった方針の中で、今回の国保税の見直し、改めて理解をいたしました。
 それで、制度改正ということで、特別会計の仕組みが変わることになっています。その上で、県と自治体の特別会計の仕組みはどのように変わったのか。その辺をお尋ねいたします。

◎市民生活部長  29年度までにつきましては、医療費の支払いに関する費用は市町村ごとで賄うということが前提でありました。改正になった30年以降につきましては、医療費の支払いに要する費用はすべて県のほうで支出をすると。これは普通交付税として、市町村に交付されるという形になったということで、財政主体が県に移ったということで大きな変更であります。
 また、市の特別会計の歳入のほうに計上されていました前期高齢者交付金であるとか、医療費の給付交付金が改正後は当然県の特別会計のほうに計上されるようになったこと。それから、歳出の面で言いますと、後期高齢者支援金であるとか介護納付金が県の特別会計の支出に計上されるようになったということで、予算の枠組みが大きく変わってきたという状況でございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。会計上のとても大きな変化があったということです。
 この特別会計が変わることで国保の財政といいますか、国保税率の算定にどのような変化があるのか。つまり市町村がこれまで財政に責任を持って運営をされてきたと思いますが、ある一定部分は県が算定をするということであります。国及び県からの補助、交付等、そういった市町村の財政支援の金額は増減が生じるのかどうか、変化があるのかどうか、お尋ねします。

◎市民生活部長  制度変更前、いわゆる広域化前については、国からの補助金というのは市町村ごとでございましたけれども、広域化後はこれが一括して、県の特別会計に交付されるということになりましたので、これはその行き先が変わっただけであって、全体的な補助金としては、総額としては変わらないという形になります。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。総額として変わらないというご答弁でありました。ただ、県が財政の責任の主体ということになる。先ほども答弁でありました、水準の統一というお話もありました。
 私がちょっと危惧するところは平準化ということなんですけれども、そもそも国保法、国民健康保険法では、市町村の条例で定める事項としては任意給付ですとか保健事業、そして保険税に関してということ。最もウエートが大きいのはやはり国民健康保険税だと思うんですけれども、その国民健康保険制度において、国保税は保険給付とともに重要な基本事項だと認識しております。
 にもかかわらず、国保法がそのことを市の条例に委任したというのはやはり各市町村の産業構造だったり、財政力、医療機関の配置が異なる、そういったことが言われていたり、また、住民への負担の配分の仕方はそれぞれの自治体の事情に合わせて決めるのが合理的だと考えられたからというふうに認識をしておりまして、ただ、市町村の規模、能力、あるいは地域的、特殊的な、また住民の経済力、結構差異がもちろんありまして、各市町村の実態が異なっている現段階で、それを度外視した形で、全国ないし県内の統一の保険税を採用するということは、本当の意味での負担の公平が図れないのかなと私自身は認識をしておりまして、総額は変わらないということでありましたが、保険者努力支援制度の到達状況によっては、実際は額が変わるんではないかと思っているんですけれども、その辺のところ、お聞かせください。

◎市民生活部長  今、おっしゃいましたように、保険者努力支援制度の関係で言いますと、確かにそこには1つの指標が示されておりますから、その指標に応じた中で、ポイント制等によって額の変動があるというのが現状であります。
 ただ、実際に、例えば納付金の話で申し上げますと、いろいろと各市町村ごとの所得水準であるとか、医療水準であるとか、こういったものを勘案されているということになっておりますので、ある意味ではそういったところでの個別の内容を反映した中で、全体的につくられているというふうに理解していただければと思います。

◆1番(武下涼議員) その保険者努力支援制度のペナルティはありつつも、県へ支払う、自治体から出す納付金と市に来る保険給付費はそこまで差が出るようなものではない、そのような認識でよろしいでしょうか。その辺をお聞かせください。

◎市民生活部長  各市町村ごとに必要となった医療費というのは、あくまでも県が普通交付金として全額を支払うということ。それの原資になる分で、市からは納付金を納めるわけですけれども、これについては先ほど申し上げましたように自治体の医療水準であるとか、所得水準を加味した中で算定されて払うと。こういった形になっているということでございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。再度、確認をさせてください。政策的に一般会計から国保会計の特別会計に繰り入れをするということがペナルティだということで、国保会計の赤字削減・解消計画に基づいて返済というか、解消していくという流れになっております。
 ただ、国保の加入状況、加入の方の所得の状況だとか、そういったことを見ますと、やはり一定程度の負担を軽減する必要があるんではないかと考えております。
 仮に、計画書に基づく計画の実現が難しいということになった場合、計画の削減額の金額の幅、赤字解消額の幅を小さくすることは可能なのかどうか。まずそこをお尋ねいたします。

◎市民生活部長  赤字の削減幅を小さくするという……済みません。いま一度、趣旨のほう、申しわけございません。

◆1番(武下涼議員) 失礼しました。赤字削減・解消計画に基づいて、その赤字分を国民健康保険税で充てて増額をして解消していく流れだと思うんですね。これまでの税額を引き上げた上で解消計画に基づく赤字を減らしていくと。その引き上げた分が負担になることも想定されますし、それが計画どおりに行くかどうかというのも懸念されるところであります。
 その上で、その引き上げ幅、保険税の引き上げ幅を圧縮というか、削減というか、減らすということは可能なのかどうかというところなんですが。

◎市民生活部長  これにつきましては、一応長期的な中での計画ということですので、その期間内に計画を達成できるように税率については検討していくという形になりますので、一概に圧縮する云々ということではなくて、やはり正確に目標に向かった形での税率を設定していく中で対応していくということになろうかと思います。

◆1番(武下涼議員) わかりました。ありがとうございます。やはり相当、県の国保の運営方針に非常に縛られているというか、厳格に遂行しなければならないということは理解できました。
 その上で低所得者との関係ももちろん、そのところをどう配慮していくかというのもとても重要なところですが、ちょっとお尋ねしたいのが課税限度額についてです。課税限度額の推移を教えていただけないでしょうか。

◎市民生活部長  課税限度額の推移でございますけれども、平成20年度課税において、医療費分が47万円、後期高齢者支援分が12万円、介護分が7万円の合計66万円。これがいわゆる賦課限度額。それ以降、随時見直しが行われておりまして、令和元年度におきましては、医療費分が58万円、後期高齢者支援分が19万円、介護分が16万円の合計93万円の限度額になる。こういう推移でございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。やはり課税限度額を引き上げているということがよくわかりました。
 ただ一方で、課税限度額について、市長会からこういったような意見も出されておりました。相当の高所得者の方から適切に保険料を負担していただくためには、現状では一律的な限度額設定になっておりますけれども、所得段階に応じた負担を求めていくということの制度設計をしない限り、現実的な制度上の矛盾は解消できないのではないかと考えておりますということで、改めて国保制度の設計といいますか、保険料、保険税負担の仕組みといいますか、そういった矛盾が出ているんではないかなと思っているところであります。
 先ほどからずっと県の運営方針を中心に話していたり、そこをベースに赤字解消の問題とかが進んでいくというところなんですけれども、県の運営方針の改定はどのようなスケジュールで行われるのか。まず、その辺をお尋ねいたします。

◎市民生活部長  今度、令和3年度の国民健康保険運営方針に向かって、今、作業が始まっているようでございまして、今年度中にワーキンググループで原案が作成される見込みと伺っております。
 その中で、平成3年度の新たな策定というような状況という……
  〔「令和」と言う人あり〕

◎市民生活部長  令和でございます。先ほどもちょっと「平成」と言い間違えましたけれども、令和でございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。ワーキンググループがあるということで、今、ご答弁があったんですけれども、このワーキンググループの構成はどのようになっているんでしょうか。ワーキンググループに多分各自治体の保険課の担当者が入っているんだろうと推測はされるんですが、これは蕨市の職員さん、課長なりは入っているものなのでしょうか。その辺、ちょっと確認をしたいんですが。

◎市民生活部長  今、手元にワーキンググループの構成の資料がございませんので、後ほど答弁させていただきます。

◆1番(武下涼議員) よろしくお願いします。
 その運営方針にかかわって、市として答弁の中、登壇の私の発言でも、伊藤部長のほうから、方針案の段階において意見を言った上で、6年間の赤字解消のところに一文を加えたというお話がありました。ここは改めて、また市の担当職員を集めて公的に、しかも、対等に意見が言える会議、ないしはそういうものはあるんでしょうか。

◎市民生活部長  それにつきましては、今の新たな仕組み的なものということの理解でよろしいでしょうか。申しわけございません。もう一度お願いできますでしょうか。

◆1番(武下涼議員) 失礼しました。今、運営方針が今現在の運営方針のもとで策定されていますけれども、その運営方針が更新されるはずだと思います。その更新に当たって、蕨市として、この運営方針について、やはり蕨市の現状において厳しい状況があるだとか、もう少しこういうふうに方針を変えてほしい、こういったことを意見として出せる公的な場が確保というんですか、会議が確保されているのかどうか、そこなんですけれども。

◎市民生活部長  これが先ほどのワーキンググループの話につながるわけですけれども、ワーキンググループにつきましては各市の担当課長、およそ20市ぐらいで構成しているという形で、先ほどの質問で言いますと、蕨市はこの中には入っていないということでございます。
 ですから、こういったワーキンググループという中で、今、おっしゃいましたように現況の運営方針であるとか、こういったものについての課題等々についてはさまざまな意見が出せる場ということでご理解いただければと思います。

◆1番(武下涼議員) わかりました。ありがとうございました。そういう意味では、このワーキンググループに構成メンバーとして入っていなければ、そのような意見を上げることができない、そういうような理解でよろしいんでしょうか。

◎市民生活部長  そういうことではございませんで、構成されているメンバーは全市町村ではございませんけれども、これについては当然入っていない自治体がございますから、それに対してのいわゆる意見照会的なものはあるというふうに理解しております。

◆1番(武下涼議員) わかりました。ありがとうございます。引き続き、市民の生活実態に配慮した国保税の水準のあり方、機会あるごとに意見を出していただきたいというふうに強く要望したいんですけれども、その点についてご見解があればお願いします。

◎市民生活部長  これにつきましては、前回の策定時においても、蕨市として意見を申し述べておりますので、そういったものについては、必要に応じて意見を出していきたいと考えております。

武下議員、市長へ質問

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
 やはり国保の構造的問題は市町村にとどまらない、全国的な課題だと思います。医療費の給付の高まり、私も蕨市の1989年から2015年ぐらいまでの総務省にある統計を使いまして、医療給付の状況を確認させていただきました。確かに給付の伸びは大変大きいものがありますが、やはり先ほど言われているとおり、医療の高度化ですとか薬価、オプジーボとか、高額な薬の問題で、加入者には手の届かないところで給付の増加があるということでは、やはり国全体として、国保の制度、公費のあり方が求められているんではないかと実感しております。
 最後に、市民の命と健康を守る政策に責任を持つ市長として、頼高市長に改めて、市の国保についての考えをお尋ねいたします。よろしくお願いします。
  〔頼高英雄市長 登壇〕

◎頼高英雄 市長  国保についてですけれども、前回も答弁申し上げましたけれども、国民健康保険は市民の命、健康を守るとともに、日本が世界に誇る国民皆保険制度を支えるかなめの制度だと。非常に大事な社会保障制度だと考えております。
 同時に、これは以前から構造的な問題がずっと指摘をされていました。加入者は所得が少なく、医療にかかりやすいご高齢者が多いと。これに対して、いわゆる民間社会保険であれば、事業主負担相当に当たる。国等からの公的な財政支援が非常に不十分で、逆に減らされてきた経過があったという中で、財政的に、構造的に大変厳しいという状況があり、実際、国保税は他の社会保険等と比べても、先ほど部長も答弁しましたけれども、現状でも高いという状況があります。
 こういう中で、自治体の大事な責務は、市民の皆さんの暮らしや健康や命を守るというのは非常に大事な責務でありますので、私は市長就任以来、それを守る立場から、国保税についても何とか低い数字に据え置こうという努力を継続してきているところです。
 そういう中で、平成30年4月、法改正によって、いわゆる国保の広域化、県が財政運営の主体となって、市町村とともに運営するという広域化が図られる中で、当時、県から示された標準保険税率というのは現行の蕨の約1.8倍という、とてつもないものでありましたけれども、こういう状況の中でも、市としては、広域化に当たっては国保税をそのとおり引き上げるのではなくて、まずは現行の国保税を据え置いて、一般会計からの繰り入れを継続しながら、同時に国保財政は厳しいですから、それを改善するための努力として、国保税の収納率を上げる努力。この間、毎年収納率は上がってきております。
 あるいは、特定健診、特定保健指導等を何とか向上させて予防を強めることで、医療費の増大に歯どめをかけようという努力もしてまいりました。
 また、糖尿病の重症化予防のいわゆるデータヘルス計画に基づく取り組み、さらにはジェネリック医薬品の普及・啓発等も取り組んできているわけであります。
 こうした取り組みは進めてきておりますけれども、先ほど部長が答弁したように、そういう中で、1つは医療費そのものは高度化によって、これは社会の進歩ですばらしいことなんですが、医療費そのものは増大してきていると。それに見合った国の財政支援がない中では、やはり一般会計からの繰り入れには限界があると。31年度予算の中でも1億円ふえたわけですけれども、そういう財政上の理由。
 それに加えて、今、国のほうは、法定外繰り入れは赤字だということで解消しなさいと。私はそう思っていませんけれども、そういう中で、義務的に赤字削減・解消計画というものを出すと。平成30年から令和5年までの6年間で解消していくんだと。
 当初、県の方針は、この6年で解消するんだという方針だったんですが、それは無理だろうということで、市のほうからも意見を上げて、それは県の方針にも反映されて、難しい場合は、その6年で解消というのは無理ということは認めようと。ただ、その6年間の計画の中で、どのぐらい削減していくかという計画はやはり出していくという仕組みの中で、蕨としては、その間に2億6,000万円の、いわゆる国で言う赤字を減らしていこうという計画を出したという状況にあります。
 それに加えて、今度はそれが達成できないと、いわゆる努力支援制度に基づく、国から自治体、県を通じていただけるお金が減らされるという仕組みが導入されると。これは実際には国保会計に大変影響を及ぼしてくるという状況にあります。
 さらに、これはまだ検討途上ですけれども、令和3年度に県の国保運営方針がまた策定されるわけですが、その中では、前回見送られた県内の国保税の統一化を入れる方向で県は検討していると。その統一の年度も入れようという方向で、今、県は検討されている。
 こういう状況を踏まえると、先ほど申し上げた基本的な立場を堅持しつつも、現実的には一定の国保税の改定はやむを得ないだろうという判断に至り、国保の運営協議会に6つの案を示しながら、国保税の改定について諮問し、今ご議論いただいているという状況です。
 ですから、今後は国保の運営協議会の議論を経て、答申をいただいて、それを踏まえて対応していくことになるわけですけれども、基本的な考え方としては、やはり市民の負担には、先ほども申し上げた立場から引き続き配慮しつつ、特に低所得者等の負担の配慮、あるいはその中でも県内の国保税の水準を何とか低い水準を維持しながら、そういう立場を堅持しながら、一定の改定はやむを得ないということで対応はしていきたいと考えておりますし、また、その方向が出た時点では、市民の皆さんにしっかり丁寧に説明していくという点でも努力をしていきたいと。
 いずれにしても、私の立場としては、市民の命や健康、暮らしを守るという自治体の原点を今後とも踏まえた対応に努めていきたいと思っています。

市職員の働く環境整備に関する現在の施策及び考えについて

◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。ぜひそのような対応と機会あるたびに蕨市からの発言をお願いしたいと強く要望いたします。
 それでは、残り時間、わずかになってしまいました。市職員の働く環境整備に関する現在の施策、考えについてということで幾つかお話をいただきました。メンタルヘルスの対策について幾つかお話がありまして、先行して一般質問を行った榎本議員から本当は病気休職者の推移をお聞きしたかったんですが、多分述べられたとおりの推移だと理解をいたします。
 その上で、ストレスチェックを進めていると思いますけれども、このストレスチェックを実施して以降、その効果というか、休職者に対するというより、病気休職、メンタルの疾患を未然に防ぐ役割もストレスチェックにはあると思うんですけれども、そういう効果はあったのかどうか、お尋ねいたします。

◎総務部長  改正労働安全衛生法、平成27年です。それ以降、28年度からストレスチェックを始めました。先ほど榎本議員にも申し上げた休職者の人数というのは、その前から言っていますけれども、それがどれだけ効果が出たかというのは、まだこの数字にあらわれるものじゃないのかなという気はしています。
 ただ、少なくともこういうチェックをすることによって、今まで取り組みがなかったわけですから、それぞれの職員がこういうことで回答すれば、自分がこういうストレスの状態になっているんだと自覚することというのは大事なことだと思っていますから、それをもって、それぞれの職員の意識が少し変わって、いい方向に向かえばいいなというふうに今、思っている段階ですから、今、ご質問のように数字であらわれたりというような形での効果というのは、今の段階でははっきりと、ありましたということが言い切れない部分はあるかと思います。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。やはり公務公共サービス、行政の担い手ということで、教員職だったり、医療職だったり、行政職だったり、本当にいろいろなところで市民サービスを支える担い手でありまして、やはりストレスのない職場というのが大変求められているというふうに認識しております。
 そういうところでハラスメントをなくす取り組みということで、幾つかセクハラ、パワハラの要綱が制定されたということで、改めてその要綱の創設に至る経過。確かに法改正だとか、社会の世論だとか、そういうのもありました。改めて、本市としてのこの要綱創設の意義について、少しご見解をいただきたいなと思っております。

◎総務部長  セクシャル・ハラスメントについては、要綱をつくってから、もう20年ぐらいたっています。これについては法改正というか、男女雇用機会均等法に基づいて、事業主の配慮義務規定が設けられたことを受けて、この要綱をつくったということでございます。
 パワー・ハラスメントにつきましては、市の上位計画、将来ビジョンの中で、ビジョン推進のためにというのがあるんです。その中に、健康で元気に働く職員、職場づくりの推進というものが掲げられていまして、その1つに位置づけたことを受けまして、この制定に至っているということでございます。

◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。やはり要綱を定める意義、法改正もありますけれども、とても意義があると思っております。
 その上で、職場復帰支援プログラムについて、項目、プログラム、どういうふうな支援を行っていくかというふうな中身のお話はいただきました。
 ただ、この職場復帰支援プログラムについては要綱、ないしは要領という形で定めている自治体もございます。本市においては、それは定めているのかどうか、お尋ねいたします。

◎総務部長  当市においては、要綱という形では定めておりません。

◆1番(武下涼議員) 要綱を定めていないというところなんですけれども、先ほどのハラスメントの関係で言えば、セクハラ、パワハラの問題で要綱を定めることによって、いろいろな職員さんがそれを目にする機会があるということであります。
 ただ、職場復帰支援プログラムにおいてはかなりデリケートな問題もあるかと思います。メンタルですとか、そういった職場を起因とする病気休職であった場合、やはり復帰プログラムがきちっと明確に目に見える形で置いてあるという意義はあるんではないかなと私は思います。
 ただ、産業医との関係、主治医との関係で、どの程度まで要綱に定めるのかというのは非常にナイーブな部分はあるかと思いますが、職員の不安なく職場に復帰できる。先ほども言いましたが、行政職の方だったり、医療職の方だったり、教員の方は要綱の適用範囲が違いますけれども、やはり不安なく職場に復帰していただいて、引き続きまた市政、蕨市をよくしていく職員として復帰していただきたいとは私なんかはすごく思っております。
 その上で、プログラムの要綱について定めるような方向性があるかどうか、ご見解を伺いたいと思います。

◎総務部長  いわゆるセクハラ、パワハラというのは要綱を定めて、こういうものを防止する、そういうことが起きないようにということで、職場の上司も全職員もそれを理解していただくために要綱というのはオープンにしながら、必要だと思います。
 ただ、職場復帰プログラムはセクハラ、パワハラとはまたちょっと違うものですから、今、国が人事院のほうで出しているものがありまして、お試し出勤実施要綱というのがあるんです。蕨の場合、これを基本に運用しています。これをそっくり同じような形で、蕨の要綱だということで定めることもできるんですけれども、その人によって、いろいろ復帰する過程において、みんなケース・バイ・ケースなんですね。ですから、1つの固まった形、決めた形での要綱がいいのか、あるいは、その人に合った形で、割と運用が可能な形でやったほうがいいのかというのを考えながら、今までやってきました。
 ですから、ある一定の要綱に近いようなものは国に準じてやっていますから、あることはあるんです。それを蕨の場合には、もうちょっとその人に合わせた形でやりたいという形でつくってこなかったということなので、ただ、今回武下議員から必要なんだというご提言がありますから、本当にそういう一定のものが必要なのかというのは我々のほうとしても研究してみようとは思っています。ただ、現状はつくっていないということでご理解いただきたいと思います。

武下議員、市長へ質問

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。さまざまな条件、状況がある中での問題ではあります。一概に他の自治体がつくっているから当てはめるというふうには単純には考えていなくて、やはり不安をなくして職場復帰していただいて、行政に携わっていただく。こういう趣旨が職場復帰プログラムに込められている。その思いが伝わればと思っておりまして、その意味での要綱というのは効果があるのではないかと考えております。
 その上で、市の職員の環境整備、また、ハラスメント。ハラスメントは根絶、絶対あってはならないと。また、職員さんについても元気に職場復帰をしていただいて、市の行政に携わっていただきたい。そういう思いがございます。
 その上で、全般について、市長からの見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

◎頼高英雄 市長  いわゆるハラスメント対策、あるいはメンタルヘルス、そして職場復帰等もご質問いただいているわけですけれども、やはり市民の暮らしに最も身近な自治体が市民の皆さんの福祉を守り、それを向上させていくという使命を果たしていくと。その上で、市職員の果たす役割というのは非常に大きいわけです。
 ですから、その職員一人一人がそれぞれそうした責務を自覚し、やりがいを持って、そのために仕事に当たれる環境をつくると。職員の人権を守ることはもちろん、働きやすい環境を整えることを通じて、職員が持てる力をそのために発揮できると。こういう環境整備をしていくことが市政の発展、市民の福祉の向上につながっていくんだという大事なテーマだと考えております。
 そうしたことから、ハラスメント対策で言えば、セクハラ、パワハラ等の防止の要綱をつくり、相談体制も構築して、それを根絶させようということで取り組んでいるところでありますし、また、いろいろな事情で、メンタル的なものも含めて休まざるを得なかった方々に対しましては、今、部長が答弁したようにそれがスムーズに、医師の意見書等によって、復帰できますという、意見書で復帰していくわけですけれども、ただ、実際にはいろいろ不安もあるでしょうから、そこにはお試し出勤的なものを、これは昔からやっていたわけじゃなくて、この間こういう制度というか、取り組みも含めて、復帰を支援していくと。そして、その職員が生き生きと力を発揮できるような取り組みを今、進めてきているという状況でありますので、こうした取り組みというのは、最終的には市民のためになる大事なことなんだということも含めて、その責任者は市長ですから、そうした取り組みをこれからもしっかり進めていきたいと思っています。

飼い主のいない猫への取り組みについて

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、飼い主のいない猫への取り組みについてであります。
 率直に言いまして、飼い主のいない猫、かなり周知が進んできているということで大変喜ばしい話だと思いますし、当事者で活動されている方にとっても大変重要な制度だと思うんです。
 ただ、蕨市の場合は手術をする前に申請をし、申請した場合、また、その許可が下りた場合、30日以内に手術という手続がございます。お隣の川口市の場合は、手術した後、90日以内に申請をするというところで、そういう意味では申請のしやすさというところで言えば、蕨市の申請は少ししづらい。または、そういうしづらさを感じているんだというふうな意見を伺いました。
 その辺で制度の改善だったり、制度を変更できる余地があったりするのかどうか、伺いたいと思います。

◎市民生活部長  現在の助成制度につきましては、県の補助金が県の制度としてでき上がった、これに合わせた中での導入ということでありまして、先行自治体の内容を参考にさせていただいて、なおかつ県の担当の方とも相談、指導いただいた中で、こういった形の要綱をつくってきたということがあります。
 これについては、県補助を使っていくという中での枠組みで、この制度設計をしてきたということがありますので、基本的には、県の補助金との関係を維持していく中では、現行の制度としては続けていきたいなというように現在は考えております。

◆1番(武下涼議員) ぜひ制度を継続していただきたいということと、やはり助成金額、蕨市の要綱にも書いてありますけれども、雌と雄によって、金額が違う。この点についても、蕨市は一律5,000円。川口市では、財政規模が違いますし、中核市ということもございますし、県との関係でどういうふうなやりとりの中で定められたかわかりませんが、やはり使いやすいようなところで制度設計をしていただきたいということです。
 最後に、猫の取り組みは令和2年度で終わるという……