足立区・小学校アウトリーチコンサート【視察レポート】~児童がプロの演奏を直で体験することの意義

足立区生涯学習振興公社の事業である「小学校アウトリーチコンサート」が、1月10日、区内小学校で行われるとのことで、蕨市においても教育における音楽、まちづくりとしての音楽などのとりくみが進められていることから、事例研究のため事業の視察を行いました。

プロ奏者 熱を込めた演奏を児童へ届ける

小学校1年生を対象とする「小学校アウトリーチコンサート」は、プロの演奏家が小学校に来て、児童の目の前で演奏を行うというものです。

演出もプロ演奏家が案を作り、行政とともに作り上げるというもので、10日のコンサートも工夫が凝らされていました。
コンサートの始まりは、トロンボーンの軽快でパワフルな音を響かせながら、児童が待つ音楽室に入ってき、児童の視線を一気に引きつけます。

今回は、トロンボーン奏者・加藤直明さんピアノ奏者・白石光隆さんの二人の演奏家が合計6つの曲を演奏。奏者は曲や作曲家の特徴なども児童に伝えます。

トロンボーンの特徴であるスライドを最大限活かせると言われている曲「ラッサス・トロンボーン」、有名なピアノ曲のラフマニノフ前奏曲嬰ハ短調「鐘」などを演奏するプロ奏者の真剣な顔つきや息遣いが直に伝わってくるコンサートに、児童も集中力が高まっていきます。

トロンボーン奏者の加藤直明さんピアノ奏者の白石光隆さん

楽器の「解体ショー」 児童の好奇心を育む

コンサートでは、楽器の音が出る仕組みも伝えます。「トロンボーンはどうやって音を出しているのか」の質問に「吹きながら手を動かす」など積極的に答えます。トロンボーンを体験してもらうために、実験器具などで使われるロートとホースを組み合わせた手作りトロンボーンが用意され、「やってみたい」と多くの児童が手をあげました。はじめてトロンボーンを吹くという児童が、一発で音を出し、プロ奏者も驚き、「なかなかできることじゃない。自信をもっていいよ」とのコメントに児童は満面の笑みでした。

また、この日は、とても技術が必要とされるピアノの「解体」が行われ、鍵盤の構造を目にしました。

ピアノの解体ショーを行う白石さん

「豊かな感性を育む音楽」を より楽しくさせる可能性を秘める

音楽の授業では、音楽表現のためには、演奏のための技能や音符の読み方などの知的理解が必要で、そのことを学びます。ただ、それらと相まって「音楽活動をしよう」という自発的な意欲も大切ではないでしょうか。「こんなふうに歌いたい」とか「このように演奏したい」という思いが湧いて出てこなければ、意欲ある活動には結びつきません。

事業の目的では、プロの演奏を直で聴き、音楽の楽しさや面白さを間近で感じる体験を通じ、集中力の高まりや学業および学校生活への相乗効果により、人間力が養われること、そして将来的な文化芸術の担い手へ育っていくことなどが期待されています。

今回の視察を通じて、この事業を体験した児童の表情を観察していると、「音楽活動への意欲」を高めるとりくみとして、有意義な役割を果たしていく可能性があることが伺えました。ただ今後事業を進めるうえで、対象学年をどうするのか、選曲をどうするのかといった議論などが出されているようで、事業を展開しながら、改善を図っていくようです。

番外編 嫌いだった音楽・歌が好きになったとき

ボクは、小学校の音楽の授業の時はいつも憂鬱だった記憶があります。合唱や独唱といった、とにかく歌の時間が憂鬱でした。ボクの声は低めなので、どうしても高い声が出せず、音を外してしまうのです。それを指摘されることが多かったので、いつの間にか音楽が嫌いになっていきました。

ただ、偶然聴いたアーティストの歌がその時印象に残り、「歌っていいかもなぁ」と思ったのです。それから、歌を聞くようになり、カラオケに行く機会もあって、「この歌、もっといい感じに歌いたい」と思うようになり、いつの間にか歌が好きになっていました。

「アウトリーチコンサート」に、子どもたちは盛り上がっていましたが、ボクもかなり盛り上がりました(/・ω・)/