コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るQ&A[ Ⅴ 労働編]

生活保護問題対策全国会議事務局長・小久保哲郎弁護士の了解を得て、「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る」の関連記事を本ブログに掲載します。

また、本日4月18日(土)から19日(日)にかけて、なんでも相談会(フリーダイヤル0120-157-930)が始まっています。ぜひ、利用してください。

コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るQ&A[ Ⅴ 労働編]

Ⅴ 労働編

(休業手当)
Q1 職場からコロナウイルスを理由に「当面店舗を閉めるから自宅待機するように。給料は支払えない」と言われました。

A 使用者は、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合(不可抗力による休業ではなく、自発的な休業の場合)、休業期間中の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければなりません(労働基準法26条)。

 緊急事態宣言が出されても指定対象外の地域であれば、店舗閉鎖等は自主的判断なので休業手当の支払義務が認められる場合がほとんどと考えられます。

 緊急事態宣言の指定地域内の場合、立場によって考え方が分かれています。しかし、雇用調整助成金の特例措置等もある中(Q2)、「いかなる事由による休業の場合に労働者の生活保障のため使用者に前記限度での負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量」(ノースウエスト航空事件最高裁判決)をすれば、「不可抗力の範囲」は限定的に解釈すべきです。

 したがって、指定地域内でも休業を要請されていない業種はもちろん、指定業種であったとしても休業(施設の使用制限等)が新型インフルエンザ等特措法に基づく指示・公表の段階に至らない協力要請にとどまる場合には、なお休業手当の支払義務があると考えます。

 なお、加藤厚労大臣も、4月7日、緊急事態宣言が出されても「一律に休業手当の支払義務がなくなるものではない」と述べ、近く休業手当についての詳しいQ&Aを作成して示すとしています。

(雇用調整助成金)
Q2 使用者に雇用調整助成金を受けるように言っても、うちは対象にならないとあきらめているようです。

A 2020年4月1日から新型コロナウイルスの影響を受ける全国の全業者に対して、雇用調整助成金の特例措置が拡大され、雇用保険被保険者以外の労働者も含め休業手当の助成等(大企業2/3・中小企業4/5)が行われ、手続も簡素化されています(問合先は最寄りの都道府県労働局)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

※Ⅴ-1 日本労働弁護団「新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A」
※Ⅴ-2 中小企業法律支援センター「新型コロナウイルス対策に関するQ&A(労働関係その1:休業手当・特別休暇等)
※Ⅴ-3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」

※Ⅴ-1 日本労働弁護団「新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A」
http://roudou-bengodan.org/wpRB/wp-content/uploads/2020/03/ffcb7d78715148a4e9c751f2b813230a.pdf

※Ⅴ-2 中小企業法律支援センター「新型コロナウイルス対策に関するQ&A(労働関係その1:休業手当・特別休暇等)
http://cs-lawyer.tokyo/news/2020/565/

※Ⅴ-3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q2-1