コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るQ&A[ Ⅲ 住宅維持編]

生活保護問題対策全国会議事務局長・小久保哲郎弁護士の了解を得て、「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る」の関連記事を本ブログに掲載します。

また、本日4月18日(土)から19日(日)にかけて、なんでも相談会(フリーダイヤル0120-157-930)が始まっています。ぜひ、利用してください。

コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るQ&A[ Ⅲ 住宅維持編]

Ⅲ 住宅維持編

(住居確保給付金)
Q1 失業して家賃が支払えなくなりました。家賃を補助してくれる制度はありますか?

A 「住居確保給付金」の利用を検討しましょう。

【申請先】各自治体の福祉担当部署。自治体によって異なりますので、各自治体の自立相談支援機関(生活困窮者の相談窓口)に相談してください。
※Ⅲ-1 自立相談支援機関相談窓口一覧(令和2年1月1日現在)

【支給要件】
① 離職後2年以内の者であるか、当該個人の都合によらないで収入が減少した者
 前者の要件は、要は「2年以内に離職」していればいいので、2年以内に離職後、現在は再就職して働いていてもOKです。2年以内にWワークで1日でも働いて辞める等していても、この要件は満たすので丁寧な聞き取りが必要です。
 後者は、今回の事態を受けて改正されたもので2020年4月20日から受付が開始されます。かなり多くの方が新たに対象となり得る重要な改正です。

※Ⅲ―2 令和2年4月7日付事務連絡「住居確保給付金の支給対象の拡大に係る生活困窮者自立支援法施行規則の改正予定について」

② 離職前に世帯の生計を主として維持していたこと

③ ハローワークに求職の申込をし、熱心に求職活動を行うこと
「月2回以上の公共職業安定所での職業相談等」及び「週1回以上の応募又は面接」等の厳しい条件が定められていますが、今般発された以下の事務連絡で「回数を減ずる又は免ずることができる」とされ、「柔軟な対応」が求められています。また、上記Ⅲ-2の通知で、職安に対する求職申込みは、当面の間、インターネットでの仮登録をもって正式な求職申込みとみなすこととしています。

※Ⅲ-3 令和2年3月9日付事務連絡「新型コロナウイルスに関係した生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の活用について」

④ 申請者世帯収入の合計が一定額以下であること
地域によって違いますが、住民税非課税基準と同程度で生活保護基準よりも少し高いです。

⑤ 申請者世帯の預貯金現金の合計が一定額(④の基準額×6で最大100万円)以下であること
このように一定の預貯金があっても利用できる点は生活保護よりも良い点です。

⑥ 求職者支援法に基づく職業訓練受講給付金等を受けていないこと
※ なお、以前は、「65歳未満」という要件もありましたが、2020年4月1日からこの要件がなくなりました。

【支給額】生活保護の住宅扶助基準額を上限とする家賃額(地域によって異なります)
※Ⅲ-4 住宅扶助の限度額一覧表(平成31年4月現在)

【支給期間】原則3カ月(最大9カ月)

Q2 家賃を2カ月分滞納したら、家賃保証会社の社員から月末までに退去するとの書面にサインするよう強く求められました。私が悪いので応じなければならないでしょうか?

A 滞納家賃の支払義務はありますが、立ち退く義務があるわけではないので、応じてはなりません。
 家主が賃借人を強制的に立ち退かせるためには、賃貸借契約を解除し、明渡訴訟を起こして判決を得た上で強制執行を申し立てなければなりません。そして、賃貸借契約を解除するためには、信頼関係を破壊するような重大な契約違反が必要で(信頼関係破壊の法理)、2カ月の滞納だけでは契約解除は認められません。
 仮に書面にサインしてしまっても、法律家に委任して交渉してもらえば状況を打開できることも多いです。

Q3 収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなってきました。銀行は返済猶予や条件変更に応じてくれるでしょうか?

A 金融庁からの要請等をふまえ、銀行等は、住宅ローン等の返済猶予や条件変更の相談に対して、迅速かつ柔軟に応じるものとされていますので、まずは銀行等に相談してみましょう。
また、住宅ローン等の悩みについては、下記の専用相談ダイヤルもあります。

〔新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル〕
0120-156811(フリーダイヤル)【平日10時~17時】
※Ⅲ-5 令和2年3月31日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた住宅ローン等の返済猶予等について(周知)」