Contents
発言通告
1 蕨市国民健康保険をめぐる状況及び国保の果たすべき役割について
(1)国保の都道府県化による本市国保財政への影響について
①2019年度決算は前年度と比較して、どのような特徴があるのか。また、その特徴の要因をどのように分析し、市としてどう評価しているのか
(2)「埼玉県国民健康保険運営方針」について
①県運営方針の影響により、赤字削減・解消計画の提出が義務付けられたが、その内容と現在までの状況及び見通しはどのようか
②「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」(案)に対する県民コメント(意見募集)が始まっているが、第2期と第1期の違い及び本市国保にどのような影響を与えるのか。また、今後市民に対してこうした県民コメントを市として周知すべきと考えるがどうか
(3)新型コロナウイルス感染症による影響と対応について
①新型コロナの影響で収入が減少した被保険者等への支援策と実績はどのようか。また、近隣市の状況はどうか
②新型コロナの影響は、今後の蕨市国保にどのような影響があると見積もっているか
2 市民の健康を守り、地域医療を保障する市立病院の役割の発揮を
(1)病院経営及び経営に影響を与える診療報酬加算の取得について
①これまで、どのような加算を取得してきたのか。また、この加算は市民にとってどのようなメリットがあるのか
②現在の収益状況において、2020年度診療報酬改定による影響はどのようか
③診療報酬加算の取得は病院経営に当たって重要と考えるが、加算の取得に向けた動きはどのようか
(2)医療提供体制の充実と医療職、事務職の勤務労働条件について
①医療職、事務職の研修参加の実績はどうか。また、研修参加を保障すべきと考えるがどうか
②病院体制の維持・充実について、医師、看護師、事務職員の確保及び職場環境の改善は欠かせないと考えるが、どのような取り組みを進めているのか
(3)新型コロナウイルス感染症への対応について
①市民に対してどのような役割を果たしているのか。市立病院の役割をもっと市民に対して広く明確に発信してはどうか
②病院として院内及び医療職、事務職の感染対策はどのような目標を立てて行っているのか。また、職員の健康・メンタルヘルスの相談体制、新型コロナを起因とする公務災害申請への助力など、支援を充実する必要があると考えるがどうか
③「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)」の活用について
(4)厚生労働省の地域医療構想における再検証要請の実名公表について
①再検証要請424病院の実名を厚生労働省が示したが、埼玉県はどのように受け止めているのか
②コロナ禍において、市立病院の重要性、役割の発揮が求められていると考えるが、今後の市立病院の建て替えを含めた在り方をどのように考えているか
登壇しての一般質問
◆1番(武下涼議員) おはようございます。日本共産党の武下 涼です。
昨年9月、初めて議会で一般質問を行ってから1年が経過し、議員2年目となりました。会派や所属は違えど住民生活の向上、地域の発展という点においては、その思いは共通するものと信じ、ほかの議員の活動にも学びながら建設的な議論となるよう努めていきたい、1年前のこの初心を忘れることなく、引き続き努力してまいります。
それでは、通告に従いまして、2つのテーマについて一般質問を行います。一般質問のテーマ設定に当たっては、新型コロナウイルス感染症の影響を考えると、あらゆる分野に影響が出ていることから、テーマ設定、テーマを絞ることなど、いろいろと悩みました。
最終的に2つのテーマとして、1つは、蕨市国民健康保険をめぐる状況及び国保の果たすべき役割について、2つ目に、市民の健康を守り、地域医療を保障する市立病院の役割の発揮をです。
1点目の蕨市国民健康保険をめぐる状況及び国保の果たすべき役割についてです。
まず、国民健康保険をめぐる状況について、新型コロナの影響による国保の減免申請にかかわる通知が国から出され、これは国保加入者が新型コロナの影響により収入減少が想定されることから、今回このような通知が出されました。
また、先週の9月18日金曜日は、「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」の案に対する県民コメント・意見募集の締め切り日となっておりました。
蕨市の国保加入者は、2019年度の決算によれば1万8,533人となっておりまして、単純な割合で言いますと、市民の約24%が国保の加入者となっており、国保をめぐる状況は多くの市民に影響を与えるものです。
その国保加入者の状況ですが、少し厚生労働省の30年度国保実態調査を参照したいと思います。
国保加入者の職業構成割合は、無職の方々が最も多く45.4%、次に、被用者32.3%、ここで言う被用者とは、組合健保や協会けんぽなどの被用者保険の加入対象にならない方々、つまり、派遣やパートなど、非正規雇用の人々のことです。また、不幸にも会社をリストラされて無職になったという場合、被用者保険から国保へ移行することになります。年齢別でいえば、高齢者の加入割合が高いというのも国保の特徴です。
国保は、多様な人の加入によって支えられていると言えます。多様な人が加入する国保は、加入者の所得水準で比較すると、公的医療保険の中では最も所得水準が低くなります。国保税の負担は、ほかの医療保険の保険料に比べ突出しており、最も平均所得が低い国保加入者が最も高い保険料を納めている、そういった状況が続いています。
こうした国保加入者の実態に加え、社会保障制度である国保制度の責任は国にあります。したがって、国庫負担の動向も大きくかかわってきます。
定率国庫負担はかつては、加入者の窓口負担を含む医療費に対して行われていました。現在は、保険給付費に対して行われています。定率国庫負担は、窓口定率負担が3割に統一された1966年度から1984年9月まで、医療費の40%でした。これを現在の保険給付費を医療費で換算すると、定率負担の割合は30%程度で、実に定率負担は10%も削減されていることになります。これは定率負担額で言えば約1兆円規模の削減という試算が出ています。
こうした状況の中で、市町村は、法定外繰り入れを行い、国保加入者の保険税負担を低く抑える努力を続けてまいりました。蕨市においても同様です。
2018年度の国保制度改革では、国庫削減分のつけかえで3,400億円の財政支援が行われましたが、先ほどの削減された定率負担額の1兆円と比べると3分の1程度であり、かつ定率負担ではなく、定額方式です。
国保制度は、こうした構造的な問題を抱え、2018年度から国保財政の責任を都道府県が担う「国保の都道府県単位化」が行われ、そして、保険者の事務を共通の認識のもとで実施する等の目的で、国民健康保険運営方針を都道府県ごとに定めることとなりました。
埼玉県国保運営方針(第2期)の案の特徴は、第1期と比べ、県内の保険税水準の統一が国のガイドラインに比べ、強調されたものとなっています。
新型コロナの影響や埼玉県国保運営方針の第2期の策定など、市国保に大きな影響を与えることから、以下、市の考え等について質問します。
(1)国保の都道府県化による本市国保財政への影響について。
①2019年度決算は、前年度と比較してどのような特徴があるのか。また、その特徴の要因をどのように分析し、市としてどう評価しているのか。
(2)埼玉県国民健康保険運営方針について。
①県運営方針の影響により、赤字解消・削減計画の提出が義務づけられたが、その内容と現在までの状況及び見通しはどのようか。
②「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」(案)に対する県民コメント(意見募集)が始まっているが、第2期と第1期の違い及び本市国保にどのような影響を与えるのか。また、今後市民に対してこうした県民コメントを市として周知すべきと考えるがどうか。
(3)新型コロナウイルス感染症による影響と対応について。
①新型コロナの影響で収入が減少した被保険者等への支援策と実績はどうか。また、近隣市の状況はどうか。
②新型コロナの影響は、今後の蕨市国保にどのような影響があると見積もっているか。お尋ねいたします。
次に、市民の健康を守り、地域医療を保障する市立病院の役割の発揮をです。
地方自治法第244条には、住民の福祉を増進する目的で公の施設を設置することができるという規定があります。その規定に基づけば、住民の健康を守るための公の施設として設置されたのが自治体病院です。
そして、自治体病院がほかの医療機関と異なるその特徴として、地方自治体が設置する行政機関であり、選挙で選ばれる首長、地方議会、そして、最終的には選挙権を持つ住民の皆さんが設置や運営のあり方に関与できることが挙げられます。別の言い方をすれば「自分たちの病院」とも言えるのではないでしょうか。
「自分たちの病院」の今後を考える際に、やはり重要な観点として、医療提供を行う医師、看護師などの医療職や事務方として病院を支える事務職の皆さんを含め、市立病院としてどのように現状を分析されているのかであります。
また、今回、新型コロナウイルス感染症の発生により、医療機関の役割に注目が集まっています。
そうした中で、自治体病院・市立病院の役割の発揮が重要と考えます。
以上の問題意識から以下質問いたします。
(1)病院経営及び経営に影響を与える診療報酬加算の取得について。病院経営は、どこに病院が建っているか、立地条件、規模や周辺の医療機関との競合関係、医師や医療職の雇用状況、職員採用の自由度、事務マネジメント能力、職員のモチベーション、そして、国の医療政策や診療報酬改定の対応状況などに影響することから容易ではありません。
そこで、医療法に基づき、医療を提供することで得られる診療報酬という観点から3点質問いたします。
①これまでどのような加算を取得してきたのか。また、この加算は、市民にとってどのようなメリットがあるのか。
②現在の収益状況において、2020年度診療報酬改定による影響はどのようか。
③診療報酬加算の取得は病院経営に当たって重要と考えるが、加算の取得に向けた動きはどのようか。
次に、(2)医療提供体制の充実と医療職、事務職の勤務労働条件についてです。
病院経営は、さまざまな要因によって大きな影響を受けると先ほど申し上げました。病院で働く医療職、事務職の役割の発揮が欠かせません。
そうした観点から2点質問いたします。
①医療職、事務職の研修参加の実績はどうか。また、研修参加を保障すべきと考えるがどうか。
②病院体制の維持・充実について、医師、看護師、事務職員の確保及び職場環境の改善は欠かせないと考えるが、どのような取り組みを進めているのか。
次に、(3)新型コロナウイルス感染症への対応について。
新型コロナウイルス感染症の発生により、医療機関の役割に注目が集まっています。病院としての役割、院内における感染対策の徹底、対応が極めて重要です。
以下3点質問いたします。
①市民に対してどのような役割を果たしているのか。市立病院の役割をもっと市民に対して広く明確に発信してはどうか。
②病院として院内及び医療職、事務職の感染対策はどのような目標を立てて行っているのか。また、職員の健康・メンタルヘルスの相談体制、新型コロナを起因とする公務災害申請への助力など、支援を充実する必要があると考えるがどうか。
③新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の活用について。
(4)厚生労働省の地域医療構想における再検証要請の実名公表についてです。この実名公表は、各病院で働く人や患者さんに大変大きな不安を与えました。現場に混乱をもたらすものでもありました。
そこで、2点質問いたします。
①再検証要請424病院の実名を厚生労働省が示したが、埼玉県はどのように受けとめているのか。
②コロナ禍において市立病院の重要性、役割の発揮が求められていると考えるが、今後の市立病院の建てかえを含めたあり方をどのように考えるのか。
以上、質問いたしまして、登壇での質問を終わります。
〔市民生活部長 登壇〕
【答弁】市民生活部長
◎市民生活部長 おはようございます。私からは、市民生活部所管のご質問にご答弁申し上げます。
初めに、1番目の蕨市国民健康保険をめぐる状況及び国保の果たすべき役割についての1点目、国保の都道府県化による本市国保財政への影響についての①2019年度決算の前年度と比較しての特徴につきましては、年度平均被保険者数が前年度比545人の減となったことに伴い、歳入では保険税収入が約7,900万円減少したほか、保険給付費の一部を除き、全額が交付されます普通交付金が約1億9,500万円減少しております。
また、前年度繰越金においては、広域化により保険給付費の突然の増加に備えて繰越金で確保する必要がなくなったことにより、約2億2,400万円の減少となり、その結果、歳入合計は前年度比2億5,150万8,253円、率にして3.4%減の72億214万1,116円となりました。
また、歳出につきましては、被保険者数の減少に伴い、保険給付費が約1億9,000万円減少したことにより、歳出合計は前年度比2億4,084万5,106円、率にして3.3%減の71億6,695万5,411円と減少しております。
また、決算の評価につきましては、2019年度決算の法定外繰入金において激変緩和措置額の減額等により、事業費納付金が増加したこと等により、前年度より約2億3,700万円増の約7億1,100万円となるなど、令和2年度の税率改正後も厳しい財政状況が続くものと認識しております。
次に、2点目の埼玉県国民健康保険運営方針についての①赤字削減・解消計画の内容と現在までの状況・見通しについてでありますが、赤字削減・解消計画は、「埼玉県国民健康保険運営方針(第1期)」の中で、国民健康保険制度の広域化に伴い、法定外繰入金を削減・解消し、財政健全化を目指す計画とされております。
蕨市では、削減すべき法定外繰入金である約8億円に対して令和5年度までに約2億6,000万円削減する計画を県に提出しており、令和元年度決算までの実施状況としましては、予定していた法定外繰り入れの削減予定額を達成したところであります。
今後の見通しにつきましては、今年度策定されます「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」に示される赤字削減・解消の方針との整合性を図りながら、新型コロナウイルスに伴う社会経済情勢の悪化や市民生活に与える影響なども踏まえ、今後の実態に合わせた計画となるよう、柔軟な見直しを検討していく必要があるものと考えております。
次に、②の「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」(案)について、第2期と第1期の違い及び蕨市国保に対する影響についてでありますが、第2期の「埼玉県国民健康保険運営方針」(案)においては、赤字解消目標年次として令和8年度までという目標年次が設定され、令和9年度から収納率格差を除き、保険税水準が統一できるよう、課題解決に取り組んでいくことが示されております。
第1期方針においても令和5年度までという赤字解消の目標年次が示されていたものの、「6年間で解消することが困難と認められる場合には、市町村の実態を踏まえた設定とする」というただし書きが蕨市の要望を受けて追記されたところであります。
しかしながら、第2期方針案においては、そのただし書きが削除されているため、令和8年度という個々の市町村の実態を踏まえない統一した目標年次が設定されることで、被保険者の急激な負担増を招き、蕨市国保に大きな影響を与えるおそれが大きいため、市町村に対する意見照会において市町村の実態を踏まえた設定とするよう強く要望してまいりたいと考えております。
次に、「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」(案)に対する県民コメントの市民への周知についてでありますが、埼玉県では、現在、「埼玉県国民健康保険運営方針(第2期)」(案)について8月19日から9月18日まで「埼玉県県民コメント制度」により、意見を募集しているところであります。
実施に当たっては、埼玉県のホームページに掲載しているほか、埼玉県広報紙「彩の国だより」8月号においても広く意見を募っております。
蕨市においては、図書館等の各公共施設に配架しております「彩の国だより」を通じて市民への周知に努めているところであります。
次に、3点目の新型コロナウイルス感染症による影響と対応についての①新型コロナの影響で収入が減少した被保険者等への支援策と実績についてでありますが、国民健康保険では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う支援策としまして、保険税の減免及び傷病手当金の支給を実施しております。
保険税については、主たる生計維持者が死亡、または重篤な傷病世帯のほか、主たる生計維持者の事業収入等が3割以上減少すると見込まれる世帯において、納付期限が令和2年2月1日から令和3年3月31日までの保険税を対象としました減免を実施しております。
実績としましては、8月21日までの受付分で申請件数が216件、そのうち減免決定件数184件、却下32件、決定金額3,036万2,900円となっております。
また、傷病手当金については、新型コロナウイルスに感染した方、または発熱等の症状があり、感染が疑われ、労務に服することができなくなった日があった方を対象に支給を行うものであります。
実績としましては、9月10日現在で、お問い合わせを4件いただいておりますが、現在のところ支給実績はございません。
近隣市の状況につきましては、令和2年度の保険税の減免においては、8月15日現在での状況としまして、川口市は決定件数859件、減免決定額は、元年度・2年度合わせて1億7,904万2,200円、戸田市は、決定件数76件、減免決定額1,628万2,057円となっているほか、傷病手当金の支給では、川口市は、申請件数2件、支給件数1件、戸田市は、申請・支給ともに0件となっております。
次に、②の新型コロナウイルスによる今後の蕨市国保への影響につきましては、経済状況の悪化による保険税の収納率の低下や被保険者の所得の減少に伴う調定減等が想定され、来年度以降への長期的な影響についても懸念しているところであります。
しかしながら、実際の影響については、現在の状況では今後の感染症拡大の動向を初め、雇用情勢の改善など、見通しが立たないため、引き続き、情報収集等に努めてまいりたいと考えております。
〔病院事務局長 登壇〕
【答弁】市立病院事務局長
◎病院事務局長 おはようございます。私からは、2番目の市立病院に関するご質問についてご答弁申し上げます。
初めに、1点目の病院経営及び経営に影響を与える診療報酬加算の取得についての①診療報酬加算の取得と市民へのメリットについてでありますが、当院ではこれまでに人的配置や設備等定められた施設基準を満たす診療報酬項目を34項目取得しております。
届け出項目には、主に入院の際に行われる基本的な診療行為の費用を一括して評価する基本診療料と、手術や検査等個別の診療行為に対して評価を行う特掲診療料があり、例えば基本診療料では、看護師1名が入院患者10名を受け持つ体制を整備した入院基本料や救急医療の実績を評価した救急医療管理加算などの項目を取得しております。
また、特掲診療料では、特定の手術やリハビリテーションなどを行うために必要な施設基準の取得をしております。
これらの施設基準による項目が市民にどのようなメリットをもたらすかにつきましては、医療機関が持つ機能や設備、診療体制、安全面やサービス面等が一定の基準を満たしていることを示す意味合いもあることから、市民にとって病院選びをする上での1つの指標になることや、より専門性の高い診療機能や充実した設備の中で医療を受けられるといったメリットがあるものと考えております。
次に、②2020年度診療報酬改定による影響についてですが、まず、改定率は診療報酬本体ではプラス0.55%となったものの、薬価等においてはマイナス0.99%となり、全体ではマイナス0.46%のマイナス改定でありました。
本体部分では、特に医療従事者の働き方改革による負担軽減や救急医療の充実が今改定の柱の1つとなっており、看護師の負担軽減を目的としている急性期看護補助体制加算や救急医療管理加算は増点され、増収を見込んでいます。
このほかにも薬剤師の調剤技術料や採血時の手技料などが増点されておりますが、新型コロナウイルス感染拡大により患者数が大幅に減少していることから、全体的な影響は不透明な状況であります。
次に、③診療報酬に関する加算の取得に向けた動きについてでありますが、診療報酬改定時には取得が可能な項目を精査し、速やかに届け出の準備を行っております。
なお、2020年度診療報酬改定で新設された項目では、入院時や手術後に一時的な妄想や幻覚といった意識の精神障害のリスクがある患者に対策を講じることで診療報酬が得られる、せん妄ハイリスク患者ケア加算を取得いたしました。
また、現在、子宮筋腫などによる月経時に症状が重くなってしまう患者に対する計画的な治療の実施を評価した婦人科特定疾患治療管理料の取得に向けて、その取得条件となる産婦人科医師の研修参加について準備を進めているところであります。
次に、2点目、医療提供体制の充実と医療職、事務職の勤務労働条件についての①医療職、事務職の研修参加の実績と研修参加の保障でありますが、令和元年度の研修や学会の参加実績につきましては、医師9名11回、看護師等20名35回、医療技術員11名14回、事務職8名18回の計48名78回となっております。
令和元年度は、新型コロナウイルスの影響による開催の中止や延期があり、前年度より全体で34回ほど減少しております。研修につきましては予算の上限はありますが、積極的に参加をしているところであります。
次に、②医師、看護師、事務職員の確保及び職場改善の取り組みにつきましては、病院を運営していく上で医師の確保はもとより、安定した看護体制を維持していくことは大変重要なことであり、そのためにも患者数の増減や職員の退職、育児休暇の取得に注視しながら、連携している大学への医師派遣の要請を初め、随時の募集、さらに、民間の人材紹介なども活用し、体制維持に努めているところであります。
また、事務職員につきましても病院独自の採用も行っており、この間、3名の正規職員として採用しており、今年度は地域連携の強化としてソーシャルワーカー1名を採用したところであります。
次に、職場改善に向けた取り組みでありますが、医療従事者の復職を支援するために院内保育所を開設したほか、職員用トイレの洋式化などに取り組むほか、管理職による院内ラウンドを定期的に行い、職員から寄せられる改善要望などの情報収集にも努めておりますが、建物の老朽化もあることから、すべての要望に対応することができない状況であります。
次に、3点目、新型コロナウイルス感染症への対応についての①市立病院の役割と役割の明確な発信についてでありますが、まず、医療機関の役割として、新型コロナウイルス感染者の発見と治療であり、保健所の指示や医師の判断により、新型コロナウイルス感染の疑いがある方への検査を行っております。
また、感染が判明した方については、県が調整役となり、入院する医療機関が決定し、治療が行われております。
こうした新型コロナウイルスの対応を行う医療機関につきましては、すべての医療機関が担っているわけではなく、県が指定した医療機関となっており、風評被害や他の患者さんへの影響などを考え、非公開とされているところであります。
それら新型コロナウイルスへの対応を行う医療機関の中でも自治体病院の役割は大きく、市立病院においても外来における発熱者等のトリアージを実施しているところであり、こうした取り組みについてはホームページを通じて周知を図っております。
次に、②感染対策の目標と職員の健康相談等の支援の充実でありますが、まず、当院における感染対策は、「感染しない、感染させない」を目標としており、4月及び6月に看護職員等の感染判明もあり、掲げた目標への思いをより一層強め、毎月開催している感染予防委員会において感染防止への情報共有を図るとともに、サージカルマスクやフェイスガードなどの感染防具の徹底や毎日の院内消毒、さらに接触感染のリスク軽減を図るため、院内の手回し式の蛇口を可能な限り交換する準備を進めているなど、感染防止への取り組みを進めております。
また、職員の健康・メンタルヘルスの相談体制につきましては、職員の健康管理として、定期健康診断のほか、特定業務従事者を対象とした健康診断やストレスチェックを実施するとともに、産業医による健康相談も行っているところであります。
次に、③新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の活用につきましては、当院では、感染拡大防止に向けた機器や物品等が補助の対象となっていることから、先月、発熱等で来られた方の専用待合室として、病院正面に設置したコンテナのほか、新型コロナウイルス感染が疑われる患者さんを収容する簡易陰圧ブースなどを整備いたしました。
補助率は10分の10で、上限額は850万円となっており、今年度中に購入したものなどが対象になっていることから、引き続き感染対策に必要なものが生じた場合は、積極的に補助を活用してまいりたいと考えております。
次に、4点目、地域医療構想における再検証要請の実名公表の①埼玉県はどのように受けとめているのかについてでありますが、当院といたしましては、再検証の検討を行う県の地域医療構想調整会議の動向に注視しておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から議論を進めることができず、本年9月までに結論を出すことについても国から延期が示されたところであります。
今後、国から新たなスケジュールが示され会議が再開されることとなりますが、当院としましては、将来構想で示した急性期医療などの役割を維持しつつ、調整会議での議論を踏まえて必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、②コロナ禍において市立病院の重要性、役割の発揮が求められていると考えられるが、今後の市立病院の建てかえを含めたあり方をどのように考えているかでありますが、当院といたしましては、まずは目の前の大きな課題である新型コロナウイルスへの対応を図りながら、救急医療を初め、お産など、市民の皆さんが求める安全で質の高い医療サービスを提供することに努めなければならないと考えております。
同時に、病院施設の耐震化についても昨年立ち上げた施設整備検討委員会において、建てかえを含めた総合的な施設の耐震化の検討を進め、今年度中には複数の案をまとめていく計画であります。
新型コロナウイルスの影響で、全国的に病院経営が厳しい状況でありますが、引き続き地域医療の拠点として市民の皆さんに愛され、親しまれる病院として前進していく所存であります。
再質問
蕨市国民健康保険をめぐる状況及び国保の果たすべき役割について
◆1番(武下涼議員) 丁寧なご答弁ありがとうございました。
通告に基づいて、国保のほうから再質のほう行っていきたいと思います。
国保の財政の責任主体が都道府県になったというところで、国保会計の歳入歳出の科目というのはかなり大きな変化を遂げたというところでありまして、その部分を調整額だったり細かくやると、ややこしくなってしまいますので、特に市町村への影響が大きいというところに限って質問させていただきたいと思います。
1つは、前期高齢者交付金なんですけども、各市町村ごとに算定して、各市町村の65歳以上の方の医療費と加入割合、それをもとに算定をしまして、医療費と加入割合の高い市町村には多く交付される交付金だというふうに聞いています。逆に少ない市町村にはわずかな交付額しかなかったものというふうになっているんですけども、国保の都道府県化によって、市国保には結果としてどのような影響を与えたのか、お尋ねいたします。
◎市民生活部長 前期高齢者交付金につきましては、議員のほうからもご案内ございましたとおり、前期高齢者の加入割合等に応じて交付されたという仕組みでございました。今回この都道府県化に伴いまして、その仕組みが市町村単位から県単位へ交付される仕組みに変わったというところでございまして、その結果として、蕨市の国保への影響ということを申し上げますと、蕨市は、前期高齢者の加入率が県下でも非常に低い状況でございまして、結果として、従前は前期高齢者交付金の交付が少なかった部類の市町村になっております。そうした中で、今申し上げました県単位の交付というふうに変わったことによりまして、市の国保への影響という意味では、むしろプラスの方向に働くものというふうに認識しております。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。前期高齢者の状況についてはわかりました。
もう1つ影響が大きいというふうに言われていたのは、財政調整交付金というところなんですけども、普通調整交付金を多く受け取っていた市町村については、その交付金が減るというふうな状況があるというふうに聞いておりました。これについても市の国保の影響というのはどのような影響だったんでしょうか。
◎市民生活部長 財政調整と普通調整交付金の関係でございますが、こちらも従前、医療給付費等に対して一定割合で交付されていたというものでございまして、これも市町村間の所得であるとか、医療格差に基づいて算定をされていたところでございますが、このたびの都道府県化によりまして、今度は都道府県間の格差を全国レベルで調整する仕組みに変わったという中で、本市におきましては、従前の普通調整交付金の交付については、ほぼ県内でも平均的といいますか、中位の支給状況になっておりまして、それで今申し上げた都道府県化によってほぼ県内平均的に影響が出てくるような仕組みに変わりますので、そう考えると、本市の国保に対する何か大きな影響というのはないんではないかというふうに考えているところでございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。財政運営が都道府県に変わったということで、算定の仕方も随分変わってくるだろうというところで、その辺の周知というのはとても重要なのかなというふうには思っているところでありますし、逆にそれが危惧だなというところもあります。
県の運営方針のほうに移らせていただきたいんですけれども、今回第2期の案が示されて、意見募集も締め切られたということなんですけども、実際のところ、県の運営方針に基本的事項という項目があるんですけども、その中には新型コロナの影響という文言は入っていないという状況なんですよね。やはりコロナの影響で、県の運営方針自体の計画の見直し等行われるんではないかということですとか、それ自体を基本的事項に明記する必要があるのではないかなという、私自身そういった問題意識はあるんですけども、このあたりの運営方針以外で県から何か考えが示されているとか、そういったところがあれば教えていただきたいということと、先ほど登壇の答弁のほうで、意見照会、埼玉県の運営方針策定に当たっては、ワーキンググループが3つぐらいあって、実は、すべての自治体がワーキンググループに入っているわけではなくて、31自治体がそのワーキンググループ不参加という、その中に蕨市も入っているというふうにはお聞きしたところであります。
そうした中で、一応そこに入っていない自治体に意見照会は義務的にはされるというふうに理解しているんですけども、ワーキンググループだったり、国保の意見照会、運営方針を定めるに当たっての影響というのは心配するところがあります。実際のところ、多分、市町村の意見照会というのは終わっていると思うんですけども、どういう形で、どういう内容で意見を強くというふうにおっしゃられていましたけれども、求めたのか、ちょっと詳しくそのあたりをお聞かせいただければと思います。
◎市民生活部長 まず、1点目のコロナの影響を受けての見直し、基本的事項への明記ということでございます。これは県のほうから伺っている状況で申し上げますと、県としましては、今回の運営方針の中では、新型コロナウイルスの影響による財政への影響はあるものと認識しているということでございますが、その影響が一時的なものにとどまるのか、長期的な影響に及ぶのか、こういったところがまだちょっとわからないというところと、それがどの程度までその影響が及んでいくのかというのも現時点で見込むことが困難であるというふうにおっしゃっております。
したがって、この影響に係る運営方針への対応ということで、県としては第2期案の財政の見通しという項目があろうかと思うんですが、そちらの今後の見通しにおいて一定の記載の追加をするにとどめているというのが、今のこの案の段階でございますけども、県としての考え方というふうに伺っております。
それから、もう一点の意見照会のところでございます。こちら詳しくということでございましたんで申し上げますと、登壇でも一部申し上げましたが、まず、前の第1期の際には、市としては令和5年度までとされていた赤字解消の目標年次、これにつきまして国民健康保険は低所得者が多く、その負担を考慮すると、令和5年度までに赤字額を全額解消するのは困難であるという意見を述べさせていただいて、それを受けて、県の方針の中に市町村の実態を踏まえた設定というただし書きが追記されたという経過がございます。
また、今回の第2期の方針の策定に当たりましても、今申し上げました新型コロナウイルスでありますとか、また、高齢化の問題、さらには、さまざまな制度改正、こういったものが国保の財政運営に与える影響がまだまだ不透明であるということであって、そうした中で目標年次を統一した赤字解消や保険税水準の統一、こういったものについては、個々の市町村の実態を踏まえての設定とするように要望をしていくというところが1つ。
それから、もう1つとして、第2期の方針の中では令和5年度に終了とされております激変緩和措置というのがございますけども、これにかかわる、低所得者への負担に配慮した措置でございますが、こういったものについて第2期の中では記載がないという状況がございましたので、令和6年度以降の低所得者負担への対応についても方針の中に織り込んでいただきたいという内容の要望を機会をとらえて行っておりますし、これからも行っていきたいというふうに思っております。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。かなり私も埼玉県の運営方針、第2期の案を見させていただきましたけれども、今、部長から答弁があったように、これまであったような文言がなかったりだとか、先ほど言った赤字削減・解消の目標年次についても実際、今回、保険税の統一水準がはっきりと書かれたわけですけれども、それに伴う自治体のメリット・デメリットっていうのはどのように把握しているのかということも方針案上にははっきり書いていなかったりですとか、実際、今の市町村の法定外繰り入れのばらつきだったり、保険税の水準だったり、かなりばらつきがある中で、いきなり統一というところになると、さっき保険税が引き上がるという、急激に引き上がって低所得者層に大きな打撃を与えるという話もありました。
その緩和をするための激変緩和の財源をどうするのかということも県の方針にはないというふうに私も見ていまして、そういう中で、蕨市のほうでそれを設けてほしいというふうに確認できたというのは、引き続きそういった姿勢で取り組んでいただきたいなというところで要望としてお願いしたいということなんですけども、続いて、県の運営方針というところなんですが、国保加入者の状況というのは、引き続き厳しい状況が続いていると。国保財政も厳しいという状況の中で、改めて蕨市の国保の所得階層別の加入者数、これが出ることによって、どの程度の所得の方が今の国保を支えているのかというある意味指標になりますので、それをお示しいただきたいということと、可能であれば、所得階層別の滞納状況、特徴など教えていただけたらと思います。
◎市民生活部長 まず、所得階層別の被保険者の状況についてお示しいたします。こちらについては令和元年度末の被保険者の平成30年中の所得階層別の人数で申し上げさせていただきます。まず、300万円以上が1,168人、200万円以上300万円未満が1,417人、100万円以上200万円未満が3,323人、100万円未満が1万2,003人、未申告などによって不明な方がいらっしゃいますが、その方が622人、トータルで1万8,533人という状況になっております。
〔総務部長 登壇〕
◎総務部長 私からは、所得階層別の滞納者の状況ということでお答えさせていただきます。300万円を超える方が139人、滞納額が約2,400万円、200万円を超え300万円以下の方が292人、約3,200万円、100万円を超え200万円以下が891人で約6,000万円、100万円以下が1,844人で約4,400万円、このようになっておりまして、比較的低所得の方のほうが多くなっていると、こういった特徴がございます。
以上でございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。やはり改めて蕨の市民、または国保加入者としての所得の状況ですとか、厳しい状況だというのがよくわかりました。
蕨市として滞納整理の取り組みということで幾つかの取り組みが進められているかと思いますけども、少し改めてその取り組みと効果をあわせて教えていただけたらなと思います。
◎総務部長 取り組みでございますけれども、全体的にやはり財産が乏しいということもございますので、そういった方で自主納付が難しい方、こういう方につきましては、まずは納税相談、これをさせていただきまして、分納など可能であれば計画的に完納できるように、いろいろとお話をさせていただいていると、このように対応しているところでございます。
効果ということですけれども、これについては、ともかく皆さんが完納できるように、丁寧に相談に応じて対応していくと、こういったことをもとにして対応していると、こういった状況でございますので、なかなか効果ということは一概に申し述べることは難しいということでご理解いただきたいと思います。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。よくわかりました。
国保の加入者の状況もそうですし、財政も非常に厳しいという状況なんですけども、今後、新型コロナが発生をして、ただでさえ低所得の状況であったり、雇用の状況が不安定となる中で、国保をめぐる状況というのは本当に厳しくなってくるんではないかと思っております。
その上で、少し新型コロナの影響で改めて納税だったり、先ほど丁寧に納税相談だったり、そういった相談を受けていきたいというふうなお話がありましたけれども、改めてそういった市としての対応がとても重要になってくるんではないかと思います。
先日、厚生労働省の大臣が自殺者数について、7月以降、増加傾向の兆しが見られていると、そういったような厚生労働省の懸念が示されたところでありました。この原因、関係というのは、コロナによる生活不安、経済的にも不安定になっているというところで、そういったことが関係しているのではないかと、そういったような指摘もございました。こうしたコロナという状況だからこそ、市民への情報提供ですとか、相談対応、これをやっぱり一層丁寧にしていただきたいという要望を強くしたいところでありまして、繰り返しになるかもしれませんが、改めて市としてどのように考えているのか、お答えいただけたらと思います。
◎市民生活部長 新型コロナの影響等によりまして、さまざまな形で不安を抱えていらっしゃる被保険者の方も多いというふうに考えております。
そうした中、例えば先ほど取り組みの1つで申し上げました国保税の減免などについては、これまでも広報やホームページにてお知らせすることはもとより、納税通知書にもご案内のリーフレットを改めて同封いたしまして、そういった細かなご説明というのもさせていただいておりますし、また、今回、コロナの影響がありましたんで、減免の申請については郵送でということでお願いをさせていただいたところなんですが、その中でもご不安でいらしたり、ご相談したいという方もいらっしゃるだろうということで、7月20日から庁舎のほうに減免相談窓口というものを開設いたしまして、そういった方に対してのご相談にも応じさせていただいたというところも行ったところでございます。
また、そのほか傷病手当金の支給などについても、新しい制度でしたので、なるべくわかりやすくということで説明等も丁寧に行ってまいったところでございますし、また、納税に関しては、担当課と連携しながら、納税が困難な場合には、国民健康保険税の徴収猶予というような制度もございますので、そういったところに必要に応じて丁寧にご案内していくというような形で、さまざまなご相談にきめ細かく応じられるような対応に努めているところでございます。
武下議員、市長へ質問
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。引き続き丁寧に対応していただきたいというところであります。
そこで、ここで市長にお伺いしたいと思います。社会保障制度としての国保制度でありますけども、国保の制度改革から国保の都道府県化により、市町村の裁量が非常に狭まりつつあるんではないかというところで非常に危惧をしているところなんです。
そこで、改めて蕨市として多くの市民、これは多くの市民といいましてもさまざまな、本当に多様な、自営業者の方もいらっしゃいますし、こういった状況の中だからこそ、今の高過ぎる国保を市町村として抑えていくという努力が本当に重要になってくるのではないかと思っております。
そこで、その市国保としての今後のあり方、どのように現時点で考えているのか、お答えいただければと思います。
〔頼高英雄市長 登壇〕
◎頼高英雄 市長 国民健康保険制度についての基本的な考えということですけれども、まず私の基本的な考え、立場については、これまでも繰り返し申し上げてきましたけれども、1つは、国民健康保険制度、国民皆保険制度を支えるかなめの制度であり、市民の健康を支える社会保障の重要な制度だということが1つ。
2つ目には、同時にこの国保、加入者の多くが高齢の方であったり、あるいはいろんな事情で仕事をしていない方が最後は国保に入るということから、一方では医療費がかかり、比較的お医者さんにかかり、他方では収入は比較的少ない人が加入しているわけですから、構造的に財政構造が脆弱であると。
したがって、3つ目として、これの財政問題の解決には、広域化という方法だけではどう考えても解決をしないわけで、国からの財政支援の強化、強化というのも以前はもっと高かったわけですから、せめて以前の水準に戻すということも含めた財政支援が必要だというのが私の基本的な考えで、それは今後もそういう考えでおります。
2つ目に、同時に法改正によって、いわゆる広域化、都道府県化というのが実際に進められてきている中での対応としては、1つは、そういう中でも蕨としては国保税の水準をなるべく一般会計の繰り入れ等によって低い水準に抑えようという努力を継続をしてきたこと。
2つ目には、今の中でも財政状況改善のために収納率向上であったり、国保データヘルス計画なども含めて糖尿病の重症化予防、あるいはジェネリック医薬品の普及といったことも含めての財政健全化の取り組みを継続すること。
3つ目には、そうした中で県の運営方針というのが今あるわけですけど、それについても今、部長が答弁したように、前回の現第1期の計画においても令和3年度赤字解消、国保税統一化等の明記については、それはもう市町村の実態に合わないと、実情に応じたものにするようにという意見も申し上げて、それがただし書きで明記されてきたという状況です。
そして、そうした中でも実際には医療の高度化等もあって医療費は増大していきますので、現実的な対応としては、一般会計からの繰り入れにも限界があるという中で、今回20年ぶりに国保税値上げ改定をさせていただきましたが、それも丁寧に説明をさせていただき、改定後も県内では低い水準に国保税をとどめるという努力を今継続をしております。
そして、お尋ねもありましたが、今コロナという状況の中で、減免対応についても相談窓口をつくって、今の時点で言えば184件の決定、約3,036万円の減免ということになっておりますけれども、こうした丁寧な対応も今進めてきているという状況です。
今後についても、こういう取り組みを継続していきたい。特に、1つは、国に対しては、先ほど申し上げた今、一定の財政支援もあるんですが、それも非常に激変緩和という形で期限が限定なので、その後の見通しが示されておりません。そうした国からの抜本的な財政支援の強化、これは市長会等も同じ立場ですけれども、それを引き続きいろんな形で求めていくということ。
また、県については、今まさに運営方針の検討がされているという中で、前回、蕨の意見も踏まえての市町村の実情を踏まえるというただし書きが今は入っておりません。令和8年度赤字解消、そして、9年度から国保税統一化と、こうしたものについては、それをやろうと思えば市民の負担は大幅にふえるわけですから、そこについては引き続き市町村の実情に応じた対応が可能となるような意見は求めていきたい。
いずれにしても冒頭申し上げた国保というのは市民の暮らし、命にかかわる大事な制度ですから、市民の暮らしや健康を守るという立場でこれからもしっかり対応していきたいというふうに考えています。
以上です。
市民の健康を守り、地域医療を保障する市立病院の役割の発揮を
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。引き続きやっぱり市町村の実態を市町村から伝えていくということがとても重要なのかなというふうに思いますし、今、そういった答弁いただいたようなところで頑張っていただきたいなというところであります。
同時に、とても危惧しているのは、やはり県の運営方針が本当に市町村の実態を把握した上で、今回の県の運営方針第2期案が出されたのかというところで、私は非常に疑問に思うところがあります。
ただ、第1期のときに蕨市から令和5年度では解消できない、負担になるというところで、第1期には反映されたというところで言えば、やっぱり市町村が声を上げるということがとても重要なんではないかなというふうには思うところであります。第2期においてもかなり蕨の市民の方にも大きな影響のある方針案ですので、部長の答弁もありましたし、市長の立場も明らかになりましたから、そういったところで引き続き対応をお願いしたいなというところで要望いたします。
では、次に、病院のほうに移っていきたいと思います。
こちらも大変丁寧なご答弁をいただきましてありがとうございました。
改めて私は蕨市立病院のホームページで、診療報酬加算の記述があった書類に目を通したんですけども、そのときは31項目、31加算というところで、ご答弁いただいたときには34加算というところでかなり努力がされているんではないかなというふうな印象を受けました。
少し歳出にかかわってなんですけども、改めて地域医療体制として、この蕨市の市立病院が救急医療ですとか、小児医療、周産期の医療について、これらの医療の特徴、市立病院としての具体的にどのような役割を担っているのか、少しお聞かせいただけたらと思います。
◎病院事務局長 救急医療、あと小児医療、周産期医療の特徴と市立病院の役割ということでございますので、救急医療につきましては、市内には2次救急を行っていただいていた病院というのは幾つもあったかと思いますが、今では24時間体制で救急患者さんの受け入れを行っている2次救急指定病院というのは市立病院だけでございます。初期救急医療、一次救急に対応する蕨戸田市医師会が運営します急患診療所とともに、救急医療を担っておるところでございます。
また、小児医療につきましては、平日の一般診療に加えまして、土曜日であるとか、休日に急な発熱であるとか、風邪などの初期救急医療体制や比較的軽症な入院患者さんも受け入れるという部分では行っております。
また、周産期医療につきましては、主に低リスクの分娩や帝王切開、あと妊婦検診を含めました分娩前後の診察を担っているところでございます。
救急もそうですが、市内唯一の分娩施設であるお産のほうも、やはり万一のときに何かあれば、かかりつけでなくても救急が受けられるという部分で安心はお持ちになっていただけるのかなという部分でございます。それが病院の役割なのかなと思っております。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。
先ほどは救急医療だったり、小児の医療、周産期における市立病院の役割を担っているところということでお聞きをいたしました。
次に、病院の病床区分、幾つかあるんですけども、病院の中にあるベッドなんですけども、そういった意味での市立病院の役割というところで少しお聞かせいただけたらと思います。
◎病院事務局長 病床における市立病院の役割ということでのご質問でございます。機能ということで分類してみますと、高度急性期機能、あと急性期機能、回復機能、慢性期機能と4つがあろうかと思います。市立病院におきましては急性期医療ということで、外科であるとか、整形外科、眼科、産婦人科等の幅広い診療科のほうで手術対応、また、周産期医療、救急患者の入院対応等、病気を発症し始めた患者さんに対する治療というものを主に行ってございます。
また、高度急性期機能、大きな病院なんですけれど、そこでやはり入院の回転率を上げるために、どんどんどんどん患者さんを退院させてしまうと。ただ、退院させてしまうには在宅でもちょっと見られないかなと、そういった患者さんを市立病院としては、急性期医療なんですけれど、そういうことを積極的に受け入れをさせていただいていると。当然、病床の回転率も上がりますし、やはり真に困っている患者さんを診てあげたいなという思いで院長みずからそういった形の体制を今とっているところでございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。そういった意味では、自治体病院が地域にあるというところで、本当に困っている方、今は病床を効率よく回していくというのが医療政策の中では重要視されているところでありますけども、やはり患者さんの置かれている状況にどれだけ医療機関が寄り添えるかというのが本当に重要なんではないかという意味で、大変重要な役割を果たしているんだなということがよくわかりました。
そこで、病院は市立病院だけではなくて、周辺に戸田ですとか病院があるわけでありますけども、先ほど言いました病床、ベッドの利用率の推移というんですか、傾向的に少し把握したいというところもありますので、少し教えていただけたらと思います。
◎病院事務局長 病床利用率の推移でございます。過去5年間で見てみますと、27年度が65.9%、28年度が72.71%、29年度が73.59%、30年度が70.43%、元年度が73.18%ということになってございます。
10年以上前というのは、病院は50%台ということで、かなり厳しい状況でありました。改革プランの中で取り組みを進めていく中で徐々に上がって、70%台で現状では安定しているような状況かなというふうに思っているというところでございます。
他市、近隣の病院で見てみますと、やはり80%台であるとか、90の下の感じで推移しているような状況でございます。
病院としましても、病床利用率をもう少し上げていかなければならないなというふうに考えてございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。病院においてはどこに病院があるのかによって病床利用率の利用状況というのは変化があるというところで、大変厳しい状況ではありますけども、引き続き市立病院のほうでそのあたりはよく分析をしていただけたらというふうには思うところではあるんです。
患者数という指標というところで、疾病別の患者数なんですけども、外来、入院の状況、あとは医療需要というのはどのように見積もられているのか、そのあたり少し教えていただけたらと思います。
◎病院事務局長 大変申しわけございません、疾患別の患者数は、細かい統計は出しておりませんので、お答えすることができないんですけれど、大枠でということであれなんですけれど、脳梗塞であるとか、心不全などの循環器系がやはり多いのかなと。あと、肺炎などの呼吸器系も多いのではないかなというふうに思っております。
あと、見込みということであれば、今後、高齢社会の中で、やはり高齢者の骨の関係の疾患についても需要があるのではないかなというふうに考えているところでございます。
そういった意味では、今回、整形外科医師1名を確保させていただいて、常勤2名体制ということで、医療需要に対しての対応はできているのかなというふうに考えてございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。これまで病院の役割について、医療提供体制でいえば救急医療の話だったり、病床の部分だったり、細かく聞いてまいりました。そういった意味では、役割として大変重要なところを担っているというところなんですが、これらの取り組みがどういう形で市民の皆さんに伝わっているのかというところで気になるところなんですが、医療機関の利用状況について少しお尋ねしたいんですけども、率直なところ、市民は一体どのような理由で市立病院を選んでいるのかというところで、どういうふうに把握されているのか、教えていただきたいと思います。
◎病院事務局長 医療機関の利用状況ということでございます。市立病院のほうで毎年患者さんに対しましてアンケートを行ってございます。ことし1月のアンケート結果になるんですけれど、手術前の受診、外来なんですけど、受診した理由としましては、自宅や勤務先に近いからが大体4割ちょっとです。次に多いのが公的病院だからということで2割程度。あとは、複数の診療科がそろっているからという部分で13%ぐらいです。上位3つがそのような理由でございまして、やはり立地的に通いやすいという部分を最優先にして、あと公立病院だからという安心感であるとか、あと一度に複数科が受診できる利便性などからも市立病院を選んでいただいているのかなというふうに思ってございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。立地的な条件であったりという傾向があるというのはよくわかりました。
先ほどは市民はどのような理由でという質問をさせていただいたんですけども、少し市立病院の雇用にかかわって、ちょっと関連するんですけども、市立病院の医療職の方、採用されていると思いますけども、雇用にかかわって、どのような理由で市立病院で働きたいという志望の動機など、把握されていれば少し教えていただけたらと思います。
◎病院事務局長 医療従事者の雇用に係る理由ということでございます。幾つかあろうかと思うんですけれど、まず看護師であれば、勤務形態が変則3交代ということで、うちの場合、日勤が8時半から17時15分、中勤が16時から20時、夜勤が21時30分から翌朝の9時ということで、3交代制を敷いてございます。通常2交代制という部分が多いかなというふうに思っているんですけれど、そこら辺で働きやすさという部分で選ばれているというようなこともございます。
あとは地域医療に携わっていきたいという部分であったり、大きな病院と違って、患者に寄り添った看護ができるんじゃないかというふうな形で志望されたということもあります。
あと、私もこの前、面接を初めてさせていただいて、どういう動機なんですかと聞いたら、ちょっとパートさんで働いていた方なんですけれど、やはりスタッフの皆さんが本当に親切にこたえてくれると、あったかい感じがするというような形で、ぜひここで働きたいということで正職を望まれたと、そのような状況でございます。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。幾つかの特徴点が挙げられておりました。ありがとうございます。面接でも親切で、温かいという雰囲気が市立病院の志望動機だったり、働きやすさの問題だったり、働きやすさがあるというところで志望するという状況はよくわかりました。
先ほど細かくいろんなお話を伺ってまいりました。例えば診療報酬加算については、大変複雑な制度でありますし、項目数が非常に多いというところで、この加算をどう取得していくのかというところでいえば、やはり病院としてどのように、事務職の方の専門性を高めていくだとか、医療に携わっている方々から、現場からどういう加算がとれるのかというところの相互の、まさに今、報告書でも書かれている「一丸となって」というのがとても重要なんではないかなというところでいろいろお話を伺いました。
病院の決算の報告書等見させていただきましたけども、先ほどお話しいただいたような、通常決算で言いますと、どうしてもどこの、例えば人員がふえて、人件費がふえてしまったというところだったりだとか、マイナスの赤字がどうだとかというふうなところに目が行きやすいという傾向はあるんですけども、実際のところはやっぱり病院経営というのは大変複雑な、どこの病院があってというところもありますし、診療報酬加算の問題でどれだけ取得できるのかというところで、病院経営というのは大変複雑な傾向があるというところで、これまでの市立病院の取り組み役割というところをもっと積極的に市民の皆さんに知らせていく必要があるんではないかなという話なんです。ホームページであったり、例えばそれ以外の方法によってもわかりやすく市立病院の役割を伝える努力をしていただきたいというふうに思っているんです。
先ほどなぜ志望動機を伺ったかといいますと、やはりこの自治体、この市に市立病院があることの意味を広く市民の皆さんが知れる、または理解できることによって、その地域の医療の水準ですとか、例えば市民の方が市立病院に勤めたいとか、周産期があったりとか、産婦人科があったりとか、小児科だったり、減少傾向でありますけども、その重要性、役割というのはあるというところで、そのあたりをやっぱり市立病院としてしっかり市民の方に伝えていただく中で、人材確保にもつながってくるんではないかというふうに私は思っているところなんです。
そのあたりどういうふうに具体化するかというのは難しいと思うんですけども、市立病院としてのより市民の皆さんに伝えるという意味でのところで、どのように考えているのか、もう一度少しお話をお聞かせいただけたらと思います。
◎病院事務局長 周知という部分でございます。病院の院内にはいろいろな部分で掲示はされてはいるんですけれど、やはり目に届かないという部分も多くございます。市立病院のホームページの多分アクセスカウント数というのは結構上位のほうに、市のホームページからのアクセスということで多いところでございます。
逆に、そういったところが市立病院をPRできる絶好の場、そのように思っておりまして、ことしリニューアルという形でなってはいるんですけど、まだまだ正直なところ、市民の皆さん、また、患者の皆さんにアピールできるようなところ、市立病院のカラーというんでしょうか、そういった部分をもうちょっと前面に出していかなければならないなと、そのように今お伺いして感じたところでございます。
全部はすぐにできるというような状況ではないんですけど、例えば院長先生とか、医師の顔が見えるような写真を出すとか、こういう看護をしていますよとか、そういったそれぞれの職員のスタッフの顔が見えるような、そのような形のホームページにできればなというふうに考えてございます。
◆1番(武下涼議員) 前向きなご答弁だというふうに私は理解しました。引き続き頑張っていただきたいなというふうに思います。
ちょっと国の施策のところに入りたいと思います。新型コロナウイルス感染緊急包括支援事業医療分というのが国から出されました。活用状況については、市立病院の外にコンテナの待合室というか、その分が補助されるというところなんですけども、医療従事者への慰労金というのも実はありまして、そのあたりの市立病院として、どのような活用状況なのか。そのほかにも何か活用状況等あればお聞かせいただけたらと思います。
◎病院事務局長 国の2次補正の関係でございます。まず、医療従事者への慰労金という形につきましては、国の2次補正予算を活用した新型コロナウイルス感染症対策従事者慰労金という形で都道府県が事業として実施されてございます。この慰労金の事業につきましては、新型コロナウイルス感染対策に一定の役割を担っている医療従事者等の職員に対しまして、幅広く慰労金を支給することとしてございます。
支給の対象につきましては、勤務日数などの一定の要件を満たして、ウイルス感染ということではなくて、患者さんと接する事業者であれば職種に関係なく、非正規職員、非常勤職員、派遣労働者、これはうちのほうで言うと看護師1名なんですけれど、あとは委託業者、委託業者は清掃であるとか、あとは受付の方たちです。そういった方たちなど雇用形態を問わずに、慰労金が交付されることになりまして、基本的に慰労金の交付申請につきましては医療機関単位で行うこととしておりまして、対象者の取りまとめを病院で行いまして、その後、交付申請書の諸手続を経て、県へ直接代理申請を行うという形で、県のほうから個々の医療従事者に支給されるというような形でございます。
退職者とかも全部含まれるような形でございますので、例えばやめた看護師がどこにいるのかとか、そういった部分のいろいろ洗い出しでやはりちょっと時間がかかるような状況でもございますが、今現在の代理申請の委任状をいただいている部分でいうと240名、この方たちが現状では対象という形でございます。
また、感染予防対策ということで、先ほども登壇でご答弁させていただいた、例えば水道の蛇口周りなんですけれど、実は6月の感染のときにいろいろ何が原因かということで、医師等一緒に回る中で、蛇口が手で回すというような形でちょっとリスクがあるんじゃないかという議論がありました。そういう中で病院の中の一斉の蛇口点検ということで、全部で177カ所ございました。その中で、手回しのハンドルタイプというのが82カ所ありましたので、この機会に何とか感染防止につなげたいという部分で、交換ができるような蛇口については、すべてレバータイプというんでしょうか、そういった形で対応できたらなという部分でございます。
あとは今後なんですけど、インフルエンザの関係で言いますと、発熱、インフルということで来られた方で、もしかしたら新型コロナの無症状という部分も否定できないという部分で、その検査をする検査技師の安全確保という部分では、バイオハザードキャビネットというウイルスを除去するというような、そういった検査をする箱、キャビネットがあるんですけど、そういった部分も取り寄せ、用意しなければいけないなというふうに考えてございます。
あとは、そのほか小物なんですけど、非接触型の体温計とか、そういった部分も対象ということでご回答いただいているんで、そこら辺も補助ということでさせていただいているようなところでございます。
以上でございます。
武下議員、市長へ質問
◆1番(武下涼議員) 状況はよくわかりました。ありがとうございました。
水道の蛇口というのは、やっぱり現場からの意見ということで大変重要な指摘なんじゃないかなというふうに思いますし、医療機関で働く方々が、もともと感染専門の病院ではないという中で感染対策を行っていくというのは大変いろんな意味でハードルの高いところでありますけど、これだけやっぱり慎重に感染対策が行われているということは、私は、今、コロナの関係で病院の風評被害という問題は出ておりますけども、そういう意味ではしっかり感染対策、目標を掲げながらやっているということを伝えていくということがとても重要なんではないかなというふうに思っているところであります。
市立病院の建てかえの検討委員会と取りまとめを今年度中というお話がありました。これについては要望なんですけども、病院建てかえについては、全国でさまざまな事例や教訓があります。高いコストで病院を建築すると市民病院の経営が厳しくなるというのが、最悪の場合、経営破綻するというのは全国の事例の中で示されているところでありまして、多分把握されているところだと思います。
そういう意味で、改めてローコストで病院を建築していく、そういった必要がありますし、ローコストの建築のノウハウというものがあると思いますので、そういったものを積極的に取り入れていただきたいなというところで、ここは要望とさせていただきたいと思います。
ここで、市長のほうにお尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、市立病院の開設者として改めて市立病院のあり方、答弁もありましたけども、方向性について改めてどのように考えているのかということと、また、私は、1年前の9月の議会で、蕨市人財育成基本計画について一般質問を行ってきたところでありました。市長が就任されて、最初に職員の皆さんに行ったあいさつとして、1つは、市民との接点、現場を大切にしてほしいということ、2つ目は、市民の思いを肌で感じながら市政運営に当たってほしいと、3つ目は、市長に対して遠慮なく意見・提案をしてほしいと、4つ目として、市長は最終的な責任をとるということで市民のためになることを思い切ってやってほしいと、そういうふうな答弁をいただいたと記憶しております。この趣旨は、やはり市立病院の運営に当たってもとても大切なんではないかなというふうに思っております。
コロナの中で医療従事者の役割というものが本当に重要性が高まるということですとか、いかに市立病院として人材を確保していくのか、あわせて職場労働条件の改善が大切だと思います。そういった意味で、あわせてその人材育成、職場労働条件の改善、人材の確保についてもどのように考えているのか、お聞かせいただけたらと思います。
◎頼高英雄 市長 市立病院のあり方、方向性、あるいは人材育成、確保の労働環境含めての重要性ということでありますけれども、これまでも申し上げてきましたけれども、市立病院というのは、市民の皆さんの健康を守る公的な医療機関拠点として大変重要な役割があると。同時に、市民アンケートでも市政の重点要望の常に上位に来ているということで、市民の皆さんの期待も高いと。
それは、現在利用している方々はもちろん、現在利用していなくても、やっぱり今後、健康、高齢化の中での健康への関心は非常に高いですから、自分の住むまちに公的医療機関があるということに非常に期待をしているということも含めて市民要望が高いというものです。
一方、私が市長就任した当時、赤字経営が続いていたという状況の中で、さまざまな経営改革に取り組んで21年度に5年ぶりに黒字化され、今、安定経営が続いてきているわけですが、そこでいう経営改革というのは、1つは医師確保、この医師確保に当たっては労働条件の改善、当時、特別手当というのも創設をして医師確保に全力を挙げようと。もちろん、医師が確保できれば入院患者もふえて、看護師さん含めたスタッフ確保も重要になってくるわけですけれども、そうしたものに力を入れてまいりました。
病床利用率、入院患者の利用率も以前は6割行かなかった状況だったんですが、今は7割を超え、年度によって違いはありますけど、70%を超えるところまで安定してきていると。
もう1つは地域連携、これは先ほど局長も答弁しましたけれど、地域の医療機関との連携は非常に大事で、1つは、いわゆる開業医さんとの関係ですね。そこで何かあれば市立病院が入院を受け入れて、また治ればもともとのかかりつけ医にかかっていただくという連携という部分と、より高度な医療を担う、医療機関の中でも、同じ急性期でも状況の違いがあるので、一定の時期がたったら、入院は必要だけども、高度急性期医療機関では必ずしも診る必要がなくなった状態の方を市立病院で受け入れるという意味での連携と、両面での連携を図ってきて、それも入院患者の増につながってきているのかなと思っております。
人材という点でいくと、私が1期目のマニフェストにも掲げた中でなかなか実現できなかったソーシャルワーカーの確保ということがやっとできるようになったり、あるいは先ほど加算についての質問をいただいていましたけれど、市立病院の事務方で言うと大きな課題は人事異動なんですね。必ずなれてきて一定期間がたつと人事異動で、違う部署でまたふなれな方が来るというのが避けられないという中で、いわゆるプロパー職員の採用ということに踏み切って、今3人確保してきています。そういう方々は、以前、民間の病院で、それこそそういう仕事に従事していた方々もいらっしゃって、加算確保、診療報酬改定のためにいろいろ調べて、蕨市のとるべき必要な加算は何かという対応もしてきているということも非常に成果が上がってきているのかなというふうに思っております。
そういう中で、やはり基本となる内科、あるいは高齢化の中での整形外科、市立病院はリハビリもできる病院でもあります。実は、リハビリの担当の常勤の整形外科医がいなかったんですが、それが数年前に1人確保できて、そして、ことし2人目を確保できたということも非常に高齢化への備えという点でも、入院患者をふやすという点でも、非常に大きな効果が期待できますし、それに加えて分娩できる出産機関も今は蕨市立病院だけと。大体500件前後出産しているわけですが、蕨の出生数から見ると、その8割ぐらい、その8割が市立病院という意味ではないんですが、数でいけばそのぐらいの数の出産がされていたり、小児の救急医療支援でいえば、その中の7割ぐらいの患者を蕨の市立病院が受け入れるということで、非常に重要な役割を果たしてきているというふうに思っております。
加えてこの新型コロナへの対応でも、これは医療崩壊を起こさない、医療機関の体制をどう守るかというのは、必要な方が医療を受けられる、それはコロナの方が受けるのはもちろん、通常の医療を受けられなくなったら大変ですから、これが国全体の重要な課題という中で、蕨の市立病院、保健所と連携して重要な役割を果たしてきておりますし、この間申し上げてきた発熱患者への対応という点でも必要な設備も整備しながら、しっかりとした検査も含めての対応もしてきておりまして、そういった点でも通常の役割に加えて、新型コロナというこういう事態に際してますます公的医療機関の役割は非常に大きくなってきているというふうに思っております。
そうした点では、コロナの影響で全国的に医療機関の経営が大変になってきて、蕨市立病院も例外ではありませんけれども、これは国を挙げて、その支援を確保しないと、とにかく例の議論になってきたPCRの議論でも医療崩壊を起こさせないというのが一番の大義名分になってきていたわけで、それが経営面から医療崩壊が起きたらとんでもない大変なことでありますので、そうした国への対応も求めつつ、市立病院が蕨、あるいは戸田、そしてこの県南地域において市民の皆さんの健康を守る拠点として、引き続き重要な役割を果たせるように人材確保、育成も含めてこれからもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。
◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。今さまざまな取り組みが市立病院のほうでされているということですとか、市長の決意も含めてお話をいただきました。
そういった意味では、やはり蕨市にとって市立病院がどういうふうに役割を果たしてきているのかということをぜひ市立病院からはっきりとしっかりメッセージを市民の方に届けていただきたいなということを強く要望しまして、一般質問のほうを終わらせていただきます。