【2021年9月 一般質問】コロナ禍において、「表明されない不安や困りごと」へ寄り添う福祉的支援及び広報の積極的推進を

発言通告

1 コロナ禍において、「表明されない不安や困りごと」へ寄り添う福祉的支援及び広報の積極的推進を
(1)子どもの貧困対策について
①本市における子育て家庭等への「切れ目のない支援」について、市内を含む関係機関等とはどのような連携が進んでいるのか
②「子どもの貧困」について、就学前・義務教育・高等学校教育・大学・専修学校等の各段階での発見・把握(統計的なものも含む)をする仕組みはどのようか。また、各段階での発見から継続的な見守り・支援、当事者の相談からのワンストップ支援の充実を望むが、見解はどのようか
③教育と福祉の連携において、スクールソーシャルワーカーの本市の位置づけ、連携の仕組み、連携状況はどのようか。また、配置による効果はどのように表れているか
(2)子どもを育てるうえでの各段階における制度等の周知について
①就学前・義務教育・高等学校教育・大学・専修学校等の各段階において、市民が支援・制度を総合的に知ることのできる機会づくりや、市としてそうした機会を利用してもらうために、支援や制度の利点・価値を伝えるための工夫や仕組みが重要と考えるがどのようか
(3)生活困窮世帯への新型コロナウイルス感染防止のための衛生用品を支援・提供できるような仕組みが必要と考えるが、本市の考えはどのようか

登壇しての一般質問

◆1番(武下涼議員) 皆さん、こんにちは。日本共産党蕨市議団の武下涼です。
 今議会においての私の一般質問のテーマは、コロナ禍において、表明されない不安や困りごとへ寄り添う福祉的支援及び広報の積極的推進を、でありまして、その中で、子どもの貧困対策について、子どもを育てる上での各段階における制度等の周知について、生活困窮世帯への新型コロナウイルス感染防止のための衛生用品を支援、提供できるような仕組みについて、提案を交え、本市の考えを伺います。
 それでは、通告に従いまして、1、コロナ禍において、表明されない不安や困りごとへ寄り添う福祉的支援及び広報の積極的推進をについて。
 新型コロナウイルス感染症の影響は、雇用の分野では、埼玉県労働局の8月の記者会見で出されました埼玉労働市場ニュースで、現在の雇用情勢は求人が求職を上回って推移しており、持ち直しが見られるものの、求職者が引き続き高水準にあり、厳しさが見られる、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に一層注意する必要があるとコメントしております。
 また、埼玉県知事、埼玉県労働局長、埼玉県教育委員会教育長の連名による新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた高校生及び特別支援学校卒業予定者の採用選考について、引き続き柔軟な対応へ協力を求める要請が各経済団体に行われているなど、各方面、緊張した状態が続いています。
 ソーシャルワーク、相談援助の分野では、アウトリーチの手法を用いて、支援を必要とする方への潜在的なニーズの把握が、コロナ禍では外出自粛要請等により、支援につなげるための訪問等が困難になっている状況などがあり、また、本市においても、2020年度の決算認定の民生費にかかわる質疑の中で確認をさせていただきましたが、本市が設置する市民の支援にかかわる協議会の開催に影響が出ているなど、改めて新型コロナウイルス感染拡大による影響が大きく出ていることがわかりました。
 加えてコロナ禍以前から、社会福祉学の分野でも表明されない不安や困りごとへのアプローチの重要性が指摘されてきました。コロナ禍においてはますます表明されない不安や困りごとへ寄り添う支援や広報が重要と考え、以下、お聞きいたします。
 (1)子どもの貧困対策について。
 ①本市における子育て家庭等への切れ目のない支援について、市内を含む関係機関等とはどのような連携が進んでいるのか。
 ②子どもの貧困について、就学前、義務教育、高等学校教育、大学、専修学校等の各段階での発見、把握(統計的なものも含む)をする仕組みはどのようか。また、各段階での発見から継続的な見守り、支援、当事者の相談からのワンストップ支援の充実を望むが、見解はどのようか。
 ③教育と福祉の連携において、スクールソーシャルワーカーの本市の位置づけ、連携の仕組み、連携状況はどのようか。また、配置による効果はどのようにあらわれているか。(2)子どもを育てる上での各段階における制度等の周知について。
 ①就学前、義務教育、高等学校教育、大学、専修学校等の各段階において、市民が支援、制度を総合的に知ることのできる機会づくりや、市として、そうした機会を利用してもらうために、支援や制度の利点、価値を伝えるための工夫や仕組みが重要と考えるが、どのようか。
 続いて(3)生活困窮世帯への新型コロナウイルス感染防止のための衛生用品を支援、提供できるような仕組みが必要と考えるが、本市の考えはどのようかでありますが、新型コロナウイルス感染防止のため、政府からマスク着用を推奨されるなど、また、より感染対策を強めるため、手指消毒のためのアルコール消毒液などの衛生用品を各個人個人が備えるなど、衛生用品の負担がふえてきました。昨年においてはマスクの供給量が追いつかず、また、マスクの買い占めといった社会問題も起きました。
 現在、各自治体などの取り組みを見ますと、埼玉県内の自治体において、対象者を定めた上で、自宅療養されている方や同居のご家族へ衛生用品を支援するところもあります。
 岡山県の浅口市の例になりますが、3歳から中学3年生までの幼児、児童・生徒を対象に不織布マスクを配布といった事業も行われています。浅口市の担当者へ聞き取りを行いましたが、事業を行うに当たり、事前に保護者アンケートを行ったそうです。
 神奈川県の鎌倉市では、マスクを必要とする方、施設にお届けしていますというメッセージを発表し、不織布マスクの引き取り、配布を行っておりました。こちらも担当者へ伺いましたが、自治体の備蓄品を柔軟に活用するのに課題があったため、このような対応をしたと。現在では十分に在庫を確保できているとのことでした。
 また、社会福祉協議会が鎌倉市と類似する取り組みを行っている例もあります。自治体が予算を確保して行う事業もありますし、市民や団体の協力を求めるメッセージを発表し、協力を得ていく方法もあります。今回の一般質問では、生活困窮という点に焦点を当てていますが、衛生用品の支援、提供ができるような仕組みをぜひ検討いただきたいと思います。
 以上で、登壇での質問を終わります。
  〔健康福祉部長 登壇〕

【答弁】健康福祉部長

◎私からは、健康福祉部所管のご質問にご答弁申し上げます。
 初めに、1番目のコロナ禍において表明されない不安や困りごとへ寄り添う福祉的支援及び広報の積極的推進を、についての1点目、子どもの貧困対策についての①子育て家庭等への切れ目のない支援について、市内を含む関係機関等との連携についてでありますが、本市は「第2期蕨市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、貧困する子育て世帯に対し、児童福祉課、学校教育課、教育総務課、生活支援課が経済的支援、自立支援、学習支援等の施策を実施しているほか、子ども食堂実施団体に対して継続的な支援を行っており、それぞれの家庭が抱える困難な状況に即して、各関係機関や地域等と連携を図りながら支援を行っております。
 次に、②就学前、義務教育、高等学校教育、大学、専修学校等の各段階での発見、把握をする仕組みと発見からの継続的な見守り、支援、当事者の相談からのワンストップ支援の充実についてでありますが、児童福祉課が所管する0歳から18歳までの子どもを対象に申し上げますと、生活困窮の割合が相対的に高い、ひとり親世帯からの相談により、子どもの貧困を把握するケースや、保育園や小・中学校等との情報連携により、児童虐待等の事例に対応する中で子どもの貧困を把握することもございます。
 発見後の対応につきましては、それぞれの世帯が抱える困難な状況に即し、必要な経済的支援策等へ関係機関が連携することにより適切につなげているほか、夕方からの居場所づくり「ぽっかぽか」が実施する子ども食堂やフードパントリーでは、市の経済的支援の対象とはならないまでも生活が苦しいと感じている世帯が利用し、非常に喜ばれていると伺っております。
 経済的な貧困の状況にある方は人とのつながりに恵まれていないなどの関係性の貧困の状態である方も多く、子ども食堂のような活動が重要な役割を果たしていると考えております。
 次に2点目、子どもを育てる上での各段階における制度等の周知についての①各段階において市民が支援、制度を総合的に知ることのできる機会づくりと、そうした機会を利用してもらうための工夫や仕組みについてでありますが、市では妊娠がわかってから高校を卒業するまでの間の子育て世帯に向けて必要と思われる情報を幅広くまとめた冊子「わらび子育てほっと情報」を窓口等で配布するほか、市ホームページにも掲載することで、子育て世帯へ情報発信しております。
 また、市ホームページにも子育て情報をまとめた子育てポータルサイトを開設しております。
 今後につきましても、より充実した情報発信に努めてまいりたいと考えております。
 次に3番目、生活困窮世帯への新型コロナウイルス感染防止のための衛生用品の支援、提供についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策のため、マスク着用や手洗い、手指の消毒など、新しい生活様式が定着し、マスクや消毒液、ハンドソープなどの衛生用品は日常生活には欠かせないものとなっております。マスクや消毒液などは常時使用するものであり、コロナ禍以前に比べ、家庭での消費量が増加し、今までにない家計への負担となっているところであります。
 長引くコロナ禍での経済的な影響により、衛生用品の購入が負担となっている世帯に対しての支援は有意義であると認識しておりますが、生活困窮世帯への必要な支援については、国等の施策も含め、総合的に検討してまいりたいと考えております。
  〔教育部長 登壇〕

【答弁】教育部長

◎教育部長  私からは、教育委員会所管のご質問にご答弁申し上げます。
 1番目の1点目、子どもの貧困対策の③教育と福祉の連携におけるスクールソーシャルワーカーの本市の位置づけ及び連携状況等とその効果についてでありますが、位置づけにつきましては、児童・生徒の福祉に関する支援を主な業務とし、学校におけるチーム体制構築への支援、保護者・教職員等に対する支援、相談及び情報提供、関係機関とのネットワークの構築、連携、調整を行うため、スクールソーシャルワーカー1名を蕨市教育センターに配置しております。
 福祉部門等との連携につきましては、月1回開催されている蕨市要保護児童対策地域協議会や年3回開催されている蕨市地域自立支援協議会に出席し、情報共有を図っており、学校との連携につきましても各校で開催される生徒指導委員会等へ出席しているほか、ケース会議を行う際には、課題解決に向けて各校へ情報提供を求めたり、学校や関係諸機関の参加者を調整するなどの連携を図っております。
 配置による効果につきましては、福祉部門で実施している蕨市子どもの生活・学習支援事業への案内を保護者へ行ったことで、子どもが事業に参加し、高校進学へつながった事例や子ども食堂「ぽっかぽか」へ子どもが参加するようになった事例のほか、不登校の原因に発達障害が疑われる場合には、当該児童・生徒の保護者に対して、専門医療機関を紹介することで通院に結びつき、適切な療育を受けることができた事例がございます。
 また、本市では県費負担分の90日と市費負担分の100日の年間190日を1人のスクールソーシャルワーカーが勤務する形態としておりますが、市内小・中学校全校の状況を把握することができ、計画的に各校へ訪問することで、各学校へ適切な情報提供を行うとともに、必要な支援に結びつけることができております。
 以上です。

再質問

生活困窮世帯への衛生用品の支援、提供できる様な仕組みについて

◆1番(武下涼議員) ご答弁ありがとうございました。ちょっと順番を変えて、再質問のほうを行ってまいります。
 1の(3)生活困窮世帯への衛生用品の支援、提供できるような仕組みということでご質問させていただきまして、回答としては、国等の状況等を見て、総合的に検討していきたいというお話でありました。こちらの一般質問の私の思いとしましては、すぐに事業をして、無償配布ということではなくて、そういった支援体制だとか提供する仕組みを検討する場を市役所内でしっかりつくっていただきたいということもありまして質問をさせていただきました。
 きょうの午前、宮下議員が学校の不織布マスクのことについてご質問をさせていただきました。提供できるような仕組みづくりということで、こちらも強調していたかと思いますけども、引き続き福祉の分野でも、また、教育の分野でも、そうした提供に当たっての仕組みづくりに努めていただきたいなというところでありまして、改めてこのところを強調させていただきたいと思います。
 登壇でもそういうふうに総合的な検討というふうにお答えありましたけども、改めて健康福祉部長から見解をお聞きできたらと思います。


◎健康福祉部長  仕組みづくりということですけれども、生活支援課のほうが幅広な貧困ということで対象の施策等を担っております。昨年度の事例ですと、フードパントリーとかということで、これは食材だったり、食べ物の例でしたけども、それは社協と連携して、困窮世帯にお配りしたといった一連の流れもあったりします。
 ですので、今回のご質問は衛生用品といった流れで、生理用品なども既に行った例がありますので、ベースとしては、そういったこれまでの流れが考えられるんじゃないかなということは考えています。

スクールソーシャルワーカーの配置について

◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。引き続き、検討等を強めていただけたらと思います。
 次に、スクールソーシャルワーカーのお話、ご答弁をいただきました。スクールソーシャルワーカー、本市の配置状況についてはよくわかりました。教育センターに1名配置をしてということでありまして、かつ、この1名の方がすべての学校を対象に支援を行っていくということもわかりました。
 市費で100日分追加して190日。しっかり活動できるようにということで、こういった日数が確保されているというのも理解をいたしました。
 その上で少し事例を紹介させていただきたいと思いますけども、蕨の場合は教育センターにスクールソーシャルワーカーを1名配置して、学校や教育委員会の依頼がソーシャルワーカーにあって、どういった支援につないでいくのかというふうに進められる。そういった方式だと思います。
 私が調べた静岡市の例になりますけども、もともとスクールソーシャルワーカーの活用の仕方について、蕨とちょっと実態が異なるということもございまして、そのあたりはそのあたりとしてお聞きいただけたらと思うんですけども、スクールソーシャルワーカーの配置においては、静岡市が最も大事にしているのは、学校から子どもの貧困をどういうふうに把握したり、発見していくのかと。そういったような位置づけがございました。その上で静岡市の場合は各校、いわゆる小学校、中学校に1名ずつスクールソーシャルワーカーを配置していくという大きな事業でありました。
 そのスクールソーシャルワーカーの役割としましては、先ほど蕨市からも答弁あったような内容に合わせて、教職員さんの相談も含めて、この各校1校に配置されたスクールソーシャルワーカーさんが相談に応じるということもありますし、学校の現場からそういった困難を抱えた子どもたちに手を差し伸べる。そういった観点で、こういった福祉専門職のスクールソーシャルワーカーさんが教職員向けに研修会といいますか、どういうふうに福祉的な支援が展開され、福祉的役割を担った専門職の役割はどういうふうにあるのか。私たちにどういうふうに相談を持っていけばいいのか。そういったような研修が行われているということもございました。
 そういった意味でスクールソーシャルワーカーに求められている役割というのは、各市や各地域によってさまざまだということも、今回調査をしていく中で理解したところであります。
 その上で、本市においては教育センターに配置するというような方式だということで、ただ、ここで少し懸念することがございまして、このスクールソーシャルワーカー1名で学校全体を把握しているということでありましたけども、すべての状況がその方に集中しているというところで気になるのが継続的な支援とそういった体制。計画的なスクールソーシャルワーカーの配置において、今後、仮にスクールソーシャルワーカーが活動できないといったような状況もあるかもしれません。いろいろな事情があるかもしれませんけども、そうしたときに、本市においてはどのように、今、スクールソーシャルワーカーの重要性が答弁の中でもありましたけども、スクールソーシャルワーカーの計画的な配置であったり、または今後、どういうふうにスクールソーシャルワーカーの継続的な支援というものを学校の現場、教育委員会としては考えておられるのか、お聞きしたいと思います。


◎教育部長  スクールソーシャルワーカーが非常に重要な職務であるということは認識しておりまして、そのこともあって、県費では90日ということなので大体週に2回程度という中で、蕨はほぼ毎日来られるような状態を何とかつくるということで、市費で倍以上の日数を配置しているわけなんですけれども、基本的には、例えばお子様お1人の場合ですと、その子だけの学校との連携で済みますけれども、例えばご兄弟がいらっしゃるとか、そのご家庭によってはさまざまな状況がありますので、逆にこういった面では1人のソーシャルワーカーが、兄弟がいるので、こちらの学校にもこういうことは同様に情報提供するとかという形で、ご家庭に対する支援としては、こういった形でやっていることが逆に有利になっているのかなということは想定しております。
 ですので、今後も引き続きこの任用形態を継続してまいりたいと思いますけれども、また、学校、児童・生徒、保護者を含めた家庭、関係機関と連絡が密になるように努力してまいりたいと思います。
 また、ソーシャルワーカーが1人ですので、引き継ぎとか、例えば、その方がいない場合はということなんですけど、これは教育センターのほうで職員がおりますので、そこはセンター内でも情報共有をしていただいて、その支援をするということ。あと、支援の経過記録等は残してありますので、そちらを活用して継続的な支援が行えるようにしております。

子どもの貧困対策について

◆1番(武下涼議員) ありがとうございました。教育センターのほうに配置しているということで事例の蓄積とかもされているというようなお話でございました。
 そういった意味では、引き続きの継続性が担保されるのかなというふうにも理解しましたが、やはりスクールソーシャルワーカーというのも、名前だけで見るとスクールソーシャルワーカーなんですが、それぞれ支援をしている側、また、こうした支援をしてもらっているような側からすると、そのスクールソーシャルワーカーというのは、ある意味、唯一無二のスクールソーシャルワーカーというところもありまして、確かに業務としては継続されているというところはありますけども、そのあたりもぜひ配慮をいただきながら、スクールソーシャルワーカーの活用ですとか、スクールソーシャルワーカーとの連携を強めていただきたいと要望をさせていただきます。
 次に質問を移りまして、子どもの貧困対策にかかわって、再質をさせていただきたいと思います。
 まず、当市の考えだったり、こちらからの要望、提案をする前に、少し事例の確認をさせていただきたいと思います。
 事例確認について。まず地域子育て支援センター、児童福祉施設において、実際に支援を必要とする方、支援につながった事例を伺いたいと思います。また、継続的な見守りにつながっているかどうか。例えば、本市においては保健センターとの連携ということもありますけども、こうした連携の事例についてもあわせてお聞かせください。
 先ほども「ぽっかぽか」さんのお話もありました。市内で活動しているNPOや市民の活動で支援につながった事例は把握されているのかどうか。差し支えない範囲で事例をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。


◎健康福祉部長  地域子育て支援センターの利用者支援で、継続的な見守りにつながっているかどうかの事例ということでございます。まず1点目ですね。
 地域子育て支援センターを利用されている方の中で、精神的不安定で養育能力の低いといいますか、そこの能力がちょっと足りないお母さんと発達おくれのあるお子さんが利用されていたケースがあったと。子どもの発達と母子の関係性において、やはり日常的に支援と見守りが必要だろうという判断をしまして、保育園の利用ができるような支援をしたといったものです。現在も保育園や保健センターと子ども家庭総合支援拠点とが連携した見守りを継続している事例となっております。
 この世帯については要保護児童対策地域協議会、実務者会議でも定期的に取り上げておりまして、児童相談所を初め、外部の関係機関も含めた支援体制を構築していると。そういった事例がございます。
 それから、NPO等の市民活動との支援事例ということでございますけども、こちらは母親の子どもに対する関心の低さから、お子さんが不登校状態となってしまった母子家庭のケースがございまして、長年、児童福祉課などがかかわってきましたが、子ども食堂を利用し始めたことによって、社会的なかかわりができて、結果として、児童福祉課や学校、スクールソーシャルワーカーの支援によって、高校進学につながったといった事例があるというところでございます。
 子ども食堂のほうの話では、その節は、最初は食事を食べに来ていただけだったと。徐々にお手伝いにも加わっていただけたと。その子にとって、子ども食堂での人の役に立つ経験が自分の存在価値を認めることにつながって、将来を考えるきっかけになったかもしれないといったお話を聞いているところでございます。

生活困窮者自立支援制度、学習支援事業について

◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。今の事例というのは自治体や、または民間が連携する形で支援がつながり、1人のお子さんの支援につながった大変重要な事例だと思います。
 子どもの居場所づくりで食堂のお話もありました。子どもの居場所にかかわって、次にまた少し事例を伺いたいんですけども、生活困窮者自立支援制度、また、生活保護の学習支援事業ということも本市は行っております。もともとは県の事業ということでありましたけども、生活困窮者自立支援制度の成立だったり、さまざまな法改正の中で、市が単独で行うような事業ということで、本市においては引き続き継続して、学習支援に取り組んでいるというふうに理解をしております。
 その上で支援が必要な子どもや保護者をどのように発見しているのか、お尋ねいたします。委託した事業者というのもありますけども、蕨市のこうした子どもたちや保護者をどのように支援をしているのか、それがわかるような支援の内容、特徴などを交えた事例をお聞きいたします。
 あわせて、この支援に当たっては、どうしてもリストが必要だと思います。家庭訪問のリストなどはあるのか。こちらについてもあわせてお聞きしたいと思います。
 関連して、自治体側がこうした保有している情報を支援のために事業者と共有しているんだろうとは思うんですけども、改めて答弁のほうで確認をしたいと思います。
 以上です。よろしくお願いします。


◎健康福祉部長  学習支援事業、これ、補助事業だったりしてやっておりますけども、支援が必要なお子さんや保護者をどのように発見しているかというところでございますけども、生活困窮世帯については、生徒、保護者等からのスクールソーシャルワーカーへの相談の中で、特に学習支援の利用が必要だと考えられる生徒について、この事業を案内し、お申し込みをいただいているといったところでございます。
 生活保護世帯については、保護開始時や、あと、進学・進級時に中学生、高校生がいる世帯に対しまして、支援内容について説明を行い、漏れなく支援につなげているといった対応になっています。
 そして、委託した事業者の支援の状況、具体的な事例ということでございますけども、総合社会福祉センター内において、基本としては週2回の学習教室を開催。ちょっとコロナ禍でいろいろあるんですけども、学習教室を開催すると。定期的に保護者も交えての家庭訪問を実施しています。
 コロナ禍で教室開催、家庭訪問に若干支障は出ているんですけども、通常の年であれば、中間・期末テスト対策、受験直前の特別講習のほか、あと就労体験、キャリア形成支援講座、調理実習、夏・冬のイベントですね。スイカ割りだったり、クリスマス会など、学習以外の催しも実施しているといったところでございます。
 それから、支援に当たっての訪問リストということでございますけども、支援対象者のリストはございます。支援開始時や進級・進学時に支援対象者を双方で確認しているといった状況でございます。
 支援に当たる際に個々の対象者の世帯の状況について、ケースワーカーと事業者双方が確認、理解し、支援に取り組んでいるといったところでございます。


◆1番(武下涼議員) 事例等、ありがとうございました。学習支援事業について、改めてお聞きさせていただきました。この学習支援事業というのは、子どもの居場所づくりであったり、今後の子どもの貧困をどうやって解消していくかのためにはかなり必要な事業であります。その上で各学習支援に携わっている事業者の皆さんの努力というのは大変多岐にわたっているというふうに理解をしております。
 そこで、どのような支援が、例えば先ほどお話がありました家庭訪問の実績ですとか、そういったお話も伺えたらと思いますし、実際にその支援、家庭訪問、ヒアリングなど、長期にわたる、時間が要する、いわゆる労力がかかっているというふうにも思うんですけども、そういったところの労力というのはどういうところにあるのか、改めてお聞きしたいと思います。
 また、先ほど生活保護のケースワーカーと事業者とで双方理解しながら連携をしているというお話もありました。改めて、どのように課題が共有されているのか。課題解決に向けての相談、連絡というのはどのように進められているのか。そういった現場の動きを少しお伺いしたいのと、そうした取り組みがどういった効果に結びついているのか。あらわれているのか。事例について、これもあわせてお聞きしたいと思います。


◎健康福祉部長  まず家庭訪問の実績と件数でご紹介いたしますと、今年度6月末現在の学習支援事業対象者数は44人といった状況です。今年度の6月までの家庭訪問の延べ回数は40回となっています。ちょっとコロナ禍で、回数が非常に減っております。昨年度ですと、合計延べ152回なんですけども、平成30年度、令和元年度では、いずれも延べ400回以上の件数があったんですけど、今はコロナ禍でちょっと回数が減っているというのが課題で、現状としては電話相談などで対応しているといったところでございます。
 あと、この学習支援を始める前に同意書等を徴するんですけども、この事業の意義とか支援の内容を説明段階でなかなか理解が得られないケースがあるということでございます。形式的に支援を受け入れたとしても成果が上がらないということが多いことから、お子さん本人だけじゃなくて、保護者への学習面だけじゃなくて、将来のことや進路、進学についてなど、幅広い支援の説明が必要というふうに考えています。
 支援期間は中・高ということで6年間にはなりますけども、進路のこと以外、いろいろな面において、将来に向けて大切な時期で、生活面も含めて、各世帯に寄り添った支援にはやっぱり時間がかかるといった場合がございます。
 それから、委託先からは毎月、定例報告書が提出されてきます。生徒1人ごとに家庭訪問時の内容、支援の方向性や学習教室での様子などが記録されております。生徒の状況、課題に対して、支援の方針が記述されてきます。それをケースワーカーと共有していると。ケースワーカーと学習支援員のそれぞれが家庭訪問を通じて把握した生活状況について確認し合って、その中で双方気づかなかった課題が新たに見つかるといった効果があります。

つながりの場づくり緊急支援事業、地域子供の未来応援交付金の活用について

◆1番(武下涼議員) 事例の紹介、ありがとうございました。改めて、ここでの事例を確認した背景といいますのは、やはり支援に当たってはさまざまな課題が複雑に絡み合って、実際の支援から解決に至るまで、いわゆる解決と言えるのかどうかというところまで行くのに相当な労力がかかっておりまして、それを1つの自治体で完結するというのも大変難しい状況なんだろうなということも、今、改めてお聞きして感じるところでありますし、こういった学習支援事業を通じて、子どもたちがまた一歩社会に踏み出すようなことにつながっているというところでも、この学習支援事業の意義というのは大変大きいなというふうに改めて実感いたしました。
 また、生活保護のケースワーカーにおいては、さまざまなケースを担当しているということで、母子世帯であったり、高齢者世帯であったり、それらを多分平均的にかけ持ちながら課題解決に当たっているということで理解をしますが、やはり現場のほうでは大変な労力がかかっているんだろうと。そういう中で、学習支援事業の相談支援員という方々と協力しているというのは大変重要だなというところであります。
 今、児童福祉の分野ですとか、生活困窮者自立支援制度、生活保護の学習支援事業、子どもの支援にかかわるところを中心に事例を確認させていただきました。そうしたことを踏まえまして、今回、2021年度9月の補正予算で計上されておりました、つながりの場づくり緊急支援事業について、少しお聞かせいただきたいと思います。
 もともと地域子供の未来応援交付金という事業の中にあるものなんですけども、臨時的な支援が必要だということで、今回のつながりの場づくり緊急支援事業が創設されたというふうに理解をしておりまして、本市がこの事業を行うに当たって、委託先をどのようにするかなど、課題などがあったと思います。実際、そのあたりの経過と本市がこの事業を行うと判断した背景をお聞きしたいと思います。


◎健康福祉部長  ことし4月から、児童福祉課に子ども家庭総合支援拠点ということで開設しています。子ども家庭総合支援拠点で子どもの貧困を所管するといった体制をつくりまして、児童福祉課のほうでは昨年度末ごろにぽっかぽかの代表者さんといろいろと活動における課題などをお話しする機会がございまして、こういった子ども食堂の事業の情報が広く伝わるようにしたいとか、あと食材の寄附ですね。こういったものは寄せられているといったようなお話も伺う中で、やはりお弁当配布の際にはお弁当の容器の購入等々、いろいろな細かい課題から、そういったもののお話を伺うことがありまして、ことし4月に国の主管課長会議、オンラインでの会議がございまして、つながりの場づくり緊急支援事業の説明がございまして、この補助事業を活用した方法で何か課題解決になる方法がないかなということで改めて団体と協議しまして事業の方向性が決まって、9月議会に提案させていただいたという次第でございます。


◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。先ほど事例のほうの確認もさせていただきましたが、蕨市で言えば、ぽっかぽかさんのほうに今回のつながりの場づくり緊急支援事業の委託をするというところでは、蕨市にとって、こういった支援団体があるというのは大変大切なことだなと思います。
 残念ながら、各市によってはこうした支援団体というのが不足しているというか、そもそもないというケースもありまして、こういった状況の中で、改めて市にこういった団体があるということとあわせて、こういった支援をしっかりつなげていくというのは大変重要な課題だというふうに思っております。
 先ほど子どもの貧困にかかわっての担当部署というお話もありました。ここで少しお尋ねしたいんですが、子どもの貧困対策を総合的に進める上で中心的な役割を果たす部署、課ですね。そうした連携の具体化を推進しているというふうなお話でしたけども、改めて、このあたりの現状についてお聞かせください。


◎健康福祉部長  ことし4月に開設しました子ども家庭総合支援拠点ですけども、こちらは児童福祉法の規定に基づきまして、子どもとその家庭などを対象にしまして、実情の把握、調査、指導、関係機関との連絡調整など、児童に関する支援になりますけども、一体的に担うための機能を持つということで、子どもの貧困についても児童福祉課のほうで所管するようになりまして、関係機関との連携を強化しまして、必要な支援を実施していくというところでございます。

子どもの生活実態調査の取り組みを

◆1番(武下涼議員) 状況等、わかりました。ありがとうございます。
 補正予算で計上されました、つながりの場づくり緊急支援事業のことで、また前後しますけども、これは時限的な事業ということであります。あくまでも臨時的な緊急対策ということで、コロナ禍において、子どもの貧困や子どもの孤立が課題として一層浮上する中で、緊急に対策しようということでこの事業が創設されたということを、内閣府の子育て担当者、子育て支援課というか、担当者のほうにいろいろな事例をお聞きしてまいりました。その中で、先ほど県の課長の説明会みたいなものがあったというお話がございました。私も国の担当者とやりとりをしているときに、このつながりの場づくり緊急支援事業という、これは緊急ということなんですけども、もともとにある地域子供の未来応援交付金の活用を市町村に求める説明会を埼玉県が開催したというお話がありました。その中でかなり驚くような自治体担当者の発言もございました。
 これは蕨市ではないんですけども、実はこの未来応援交付金については、全体の自治体からすると390自治体が申請をしているということで、まだすべての自治体が取り組んでいるものではないというものであります。その上で、国からも子どもの貧困対策、解消を進めるために応援交付金の事業活用をということで説明会を開いているということなんですが、その中で埼玉県のある自治体の担当者が、応援交付金については、うちではしばらくやらないよと。なぜならば、うちの自治体には貧困はないからだというようなご発言をした担当者もいらっしゃったそうです。
 これについては、現状の認識をどういうふうにとらえているかというところもありますので、一概にどういうふうにということは言えないんですけども、実態調査をしていないのにもかかわらず、このような発言が出るというのも確かに問題ではないかというふうに思われます。
 そこで、少し要望と提案というふうになるんですけども、この地域子供の未来応援交付金の活用について、改めて本市の考えを伺いたいと思います。この地域の未来応援交付金については、たび重なる交付金申請受付の条件については緩和されたり、より交付金が活用できるような形で、その内容がかなり変わってきております。今回もつながりの場づくり緊急支援事業ということで形を変える形で、より子どもの貧困に自治体がかかわるようにというところで展開されてきているものです。
 埼玉県の状況としましては、2021年8月31日現在では、県内の20自治体がこの交付金の事業を活用しているということで、子どもの生活実態調査とあわせて、子どもの支援にかかわる団体、資源量把握調査を行っているということであります。これについて、本市でも子どもの貧困という実態把握、実態調査をぜひ進めていただく中で、貧困の連鎖を絶つという取り組みに力を入れていただきたいというふうに私は思っているんですけども、現状の考えをお聞かせいただけたらと思います。


◎健康福祉部長  地域子供の未来応援交付金の活用ということでございまして、担当課でもいろいろな補助金、補助メニューを注視しまして研究はしているんですね。地域子供の未来応援交付金も実態調査とか、そういったものの対象になっているようなことがあるようですけども、その調査につきましては、担当のほうでも実際どういった方法で、どういうふうにやっていくかというのを今、研究している段階でございまして、引き続き、県内の他の自治体の事例なども踏まえて検討していくということでございます。


◆1番(武下涼議員) ありがとうございます。今、検討していくというようなお話でありました。
 地域子供の未来応援交付金の実態調査にかかわっては現在まで、ごめんなさい。先ほど申し上げました数字、ちょっと間違っておりまして、349自治体が交付の対象になっているということで、そのうち幾つかのところが実態調査をとりあえず置いておいて、子どもの支援団体にかかわる連携体制の整備というところに力を置いて、そこからまた実態調査の把握に努めるというようなやり方もございます。
 この調査に関しては、既にいろいろな自治体が時期はさまざま違うんですけども、早い段階からやった自治体もありますし、例えば、入間市であれば、平成31年にそうした調査結果の報告を出したというところもありまして、そこから、つながりの場づくり緊急支援事業のほうに結びつけていたりとか、そういった事業展開がありまして、今の瞬間、どういうふうに統計をとるのかということもしっかり調査・研究をしていただきたいなとは思っております。
 これは今、コロナ禍においての統計調査というあり方とコロナ以前での統計のとり方とでは全く性質が異なってくるということもございますし、他市の事例や先進的な事例で言いますと、やはり学校、教育現場との協力によって、保護者もそうなんですけども、統計調査の回収率がぐんと引き上がるということもございます。
 入間市の例で言いますと、入間市は小学校5年生児童と保護者に対して、1,285件配布したと。うち1,020件回収して、有効回収率が79%だということでありまして、非常に高水準であります。入間市の場合は小学校5年生と中学校2年生の児童・生徒を対象にしたということもあります。
 先ほどソーシャルワーカーの件で、静岡市の例を少しお話をさせていただきましたけども、静岡市については5歳、小学生、中学生ということで、より細かく統計をとっているというところもあります。
 いずれにしても、市の実情に応じた施策を講じるために子どもの貧困実態調査を行うということでありますので、蕨市においての情報というのは、市に一番、自治体に一番集まっているというものもありますので、ぜひこういった先行事例なども参考にしていただきながら調査・研究、実態調査については進めていただきたいなと要望をさせていただきます。
 それから、実態調査については検討して進めていくというようなお話でありましたので、ちょっと細かいお話になりますけども、確認と要望等をさせていただきたいと思います。
 他市の例では、子ども食堂を市の事業として位置づけて委託しているところもあります。蕨市ではそうではありません。臨時の事業についてはそうなっているということなんですけども、そうした子ども食堂の委託先。先ほど生活保護や生活困窮者自立支援の関係の委託先とが情報共有をしつつ、相互に支援し合っている。そういった例もございます。
 ここでの情報共有というのは、個人情報であったり、機密情報ではないということだけ留意していただきたいんですけども、支援に当たっての事例協議だったり、支援の方法だったりというのを支援者同士でしっかり深めていきながら、支援のネットワークを広げていくというところで、こういった相互の支援が広がっている例があります。
 ここについて、ぜひ蕨市においても、自治体として意識的にこうした連携の働きかけ、事業者の委託先にですよ。連携を図っていただく。もう既に水面下で連携しているケースもあるかと思いますが、改めて自治体として、意識的に働きかけを行っていただきたいというふうに考えておりますけども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。


◎健康福祉部長  子ども食堂の団体さんと市で今までも委託している学習支援事業の事業者という関係でございますけども、それぞれ相互に情報共有、連携を図ることは子どもの支援に有益であるということは考えられますけども、まずはそれぞれの支援事業について、両団体で知ってもらって、相乗効果が得られればというふうに考えております。


◆1番(武下涼議員) ぜひそういった相乗効果が生まれるような形で、自治体のほうも支えていくとかいうような取り組みを進めていただきたいと思います。
 いずれにしましても、きょういろいろな事例のほうをご確認させていただく中で、改めて支援に携わっている方の支援が子どもたちの支援に結びついていったり、子どもたちの未来の一歩につながっているという事例も確認できました。子どもの貧困にかかわっての支援だったり、またはさまざまな子どもの支援にかかわることについては、引き続き、議会のほうで取り上げていきたいと思います。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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