自分勝手ブックカバーチャレンジの振り返り(著・遠山啓『数学の学び方・教え方』)[2] ―Facebookで流行った「7日間ブックカバーチャレンジ」

なぜ、「自分勝手ブックカバーチャレンジ」をするようになったのかは、前回のブログを読んでいただけたらと思います

宣言通り、「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」は、不定期となりましたが、引き続き。(前回5月11日でした)

それで、「7日間ブックカバーチャレンジ」に戻りますが、チャレンジー2ーのカバーはこれです(*´∀`*)(投稿日6月3日)

1972年5月31日 第1発行(2018年7月13日 第52発行) 著・遠山啓『数学の学び方・教え方』

著者は、数学教育の研究に携わっている者として、学校のあり方に憂慮しています。「学校は子どもをのびのびと学んだり遊んだりさせる場所ではなく、毎日のようにテストをやらせ、子どもたちをたがいに競争させ、その競争に負けた子どもは一生涯うだつがあがらないようにする仕組みができつつあるようです」それから子どもの成長について、このように述べています。

「いくら、子どもたちを「早く、早く」とせき立てても、真の意味での成長は望めません。一見、早く成長したようにみえても、何か重要なものが置き忘れられていることが多いのです」特に、数学または算数の教え方について、数学教育の研究者として、「誤った考え」が広まっていることにも憂慮しています。

「いろいろの教科のなかで、この選別、差別の手段としてもっとも多く利用されているのが数学です。そして数学のできる、できないが、頭が良いか、悪いかのものさしになる、という誤った考えが広まっています。これは、数学教育の研究にしたがっている私にとって、たいへん残念なことです」

著者は、数学やその始まりである小学校の算数は、適切な教え方さえすれば、理解できるはずのものだといい、「早く答えを出せ」とせき立てるのではなく、「ゆっくり歩いていっても決して遅れることはない」と述べています。

数学が分からなくなる原因を大別して3つあると言います。「子ども、教師、教科書」著者は「もし、日本中の子どもが同じ個所でつまずくとしたら、それは子どもや教師の責任ではなく、教科書、もしくはその背後にある学習指導要領に責任があると言わねばなりません」と指摘します。

また、教科書の問題に触れつつ、さらに踏み込んで言えば、市販のテストにその責任があるのではないかと提起します。市販ではない、子どもたちの顔を思い浮かべながらつくる「手作りテスト」の大切さを説いています。

これは1972年に発行された本です。当時の状況を憂慮した著者は「もともと数学は単純な学問で、急所を徹底的に分からせる」ことが大切だということで、そうした目的で、そして「急所」を示すために著した本だと述べています。著者が憂慮した当時の状況といまはどうでしょうか。

▼1972年5月31日 第1発行(2018年7月13日 第52発行) 著・遠山啓『数学の学び方・教え方』1909ー1979年。1938年 東北大学理学部卒業。専攻ー代理数